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この世界で  作者: 甘栗
37/73

第37話 ちょっと待って

朝、眼が覚めると誰かにゆさゆさと揺すられているのに気づいた


「な……、なに?」

「あらあら、ようやく起きたようね?」


もう、仕方ない娘ね、と呟き笑う声を聞いた

ゆっくりと上体を起こして、声のする方を向いてみる。そこにはシンシアさんが立っていた

昨日とは違い、寝間着ではなく修道服に変わっているが

 なんでシンシアさんがいるんだっけ? 起きたばかりの頭で思い出してみる。うーん、と唸っているとシンシアさんは、じっとこっちを見てきている

……ああ、そうだった。僕が厚意に甘えて寝かせて貰ったんだった


「おはよう、ございます」

「ええ、おはよう。よく眠れたみたいね?」


僕は返事もしないで、コクンと頷いた

まだ寝起きのせいか、頭がぼーとする。ふぁーと欠伸が出てしまった

シンシアさんがそんな寝惚けた僕の髪を触り櫛で梳いてくれた

あんまり、目立った寝癖とかつかないからそのままにしたりするんだけど、シンシアさんには気になってしまったんだろうか?

 髪を梳くのって、自分でやるよりも、誰かにやってもらうと気持ちいいのはなんでなんだろうか?


「はい、良いですよ」

「ありがとうございます」

「どう致しまして

さあ、着替えたら行くのでしょう?」


そうだ、優希とハルトを捜さなきゃ

もぞもぞと巫女服を脱ぎ、カインさんに貰った服を適当に掴み着ていく

ん? なんか、視線を感じる?


「……貴女は」

「シンシアさん?」


何故かシンシアさんが固まっていた。どうしたんだろう? 同じ女性として何か思うとこでもあったのかな? 変なとこで恥じらいが足りないとはミリアさんに言われた事もあるくらいだし

首を傾げる。あ、顔を逸らされた

なんなんだ? とりあえず、着替えよう。

修道服に着替える

あれま……スリットが深いな、ナニコレ?


「はあ、まったく」

「どうしたんですか?」

「いえ、なんでもないの。……ただ、綺麗な肌だなって思っただけよ」


僕が? いや、それよりもシンシアさんのが綺麗だと思うけど、エルフだし


「シンシアさんの方がキレイだよ?」

「あらあら、ありがとう」


シンシアさんと教会の外に出る。流石に朝食は用意できないと謝られたけど、むしろ寝る場所を提供してくれただけ御の字だ


「シア、気をつけてね」

「はい、ありがとうございます」

「くれぐれもムリはしないように」

「アハハ、気をつけます」


ペコリと頭を下げて、その場を後にする

さて、優希は軍人だからお城か兵舎かな?

でも、兵舎はどこか分からないからお城に行こうっと



と、思っていた僕がバカでした

お城には、着いたものの門番に門前払いにされてしまった

どうしたものか? ああ、ハルトの家に行けばいいのか

そうと決まれば行動開始、いざっ


「あたっ!?」

「おっと、大丈夫か?……って、お前」


誰かにぶつかったし、いたた。尻餅着いたし

謝らないとまずいよね

よいしょ、と


「ごめんなさい、急いでまして」


頭を下げて、謝る。うう、許してくれ~


「いつから、シスターになったんだ?」


なんか、おかしな質問された。シスターになった覚えはない。コレはコスプレだし


「ハァ、頭を上げろ」


言われた通りにする、軍服を着たハルトが物凄い変な物を見るような顔をしていた


「というか。何処にいた? 一週間も行方不明になって」

「えーと、ごめんね」

「だいたい、お前は前に会った時から抜けてそうだと思っていたがまさかここまでとは、流石の俺でも予想していなかったぞ」


うっ、何故か怒られてる。非はあるのは認めるけどさ


「何があったら、ドラゴンに誘拐されるんだ? しかも、お前のとこの旅団は捜索はそちらにお任せしますとか抜かしてさっさといなくなったんだぞ!?」

「は、はあ」


思わず正座してしまう。いや、それよりもめっちゃ見られてるよ。ひそひそ話されてるからっ


「……ハルト?」

「なんだ?」

「場所を変えない?」

「どうして?」

「人に見られて、噂されてるから」


僕の言葉に周りを見回し、気付いたようだ。腕を掴み強引に立たせると慌てて人混みの中を突っ込んだ

いや、コレはコレで目立つから、恥ずかしいから!?


「ああ、クソ。これも全てお前のせいだ」

「そんな、屁理屈だよっ!?」

「うるさい。いいから来い」


そのままハルトの家に着き、あがらせてもらった


「さて、シア。素直に話せ。何があった?」

「うーんと、実は…―」


とりあえず、シンシアさんにもした嘘の事情をハルトにも説明した


「あんなのと交流があった事自体が信じれんが、王都に危害を加えなかったしな」

「マクシミリアンは悪くないから」

「……はぁ、ったく。そんなの知らん。

とにかく、無事でなによりだ。優希は面白がってたが、俺は一応、心配したんだぞ?」


心配してくれたんだ、悪い事しちゃったな。反省しないと

でも、なんで頭を撫でるんだよ? そんなにへこんでたか僕は


「ハルト、なんで撫でるの?」

「なんとなく、幼馴染みに被って見えたから、な


それは、ひょっとしてリントさんに関わりがあるんだろうか? でも、僕はその事に何も言えなくて結局されるがままだった

それから暫くしてから、ハルトにどうするのかを尋ねられたので僕は帰りたいが道が分からないことを話した


「街道を行くだけだが、お前だけだと不安だな」

「む、それはどういう事さ?」

「迷子になりそうだと思っただけだ。しかし、俺は休暇を貰えんしな」


迷子に、って、子供扱いじゃないか。失礼な、ちゃんと帰れるやい


「いいよ。とりあえず街道を歩いてけば、いいんでしょ?」

「いや、まあそうだが」

「ちょっと待った~!!」


その声に、思わず顔を見合わす僕ら

あ、溜め息を吐かれた。予想通りの人物らしい


「行方不明者の保護、若しくは捜索依頼者の元へ送り届ける事も私達の仕事よ、ハルト?」

「ユウキ、本心はなんだ?」

「合法的にサボれる」


やっぱり優希だった。彼女も軍服を着ている

優希は、呆れるハルトを他所にくっついてきた


「だいたい、シアが心配ならコレしかないでしょ?」

「まあ、そうだが」

「それならいっそ、シアを送り届けた方が気持ち楽になるわ。サボれるし」

「……サボりたいだけだろうが」


優希達が来てくれたら、嬉しいけど迷惑は掛けれない

チラッと優希を見ると笑顔だった。


「仕方ないな~、ハルト君は

私だけで行くわ。さ、レッツゴー♪」

「待て、分かった

分かったから、行く。その前に話をつけ――」

「――私に抜かりはない、既に話をつけてある」


あ、ハルトが固まった。お疲れ様です


「シアも、迷惑を掛けれないとか考えるのは無しよ」

「でも、優希」


僕の口に人差し指を当ててきた。優希はどこか怒っているように見える


「友達には、時に迷惑を掛けるものよ。それとも、私じゃ不満?」


そんな事ない。僕は首を横に振る

よろしい、と言って優希も僕の頭を撫でてきた

……流行ってんのかな、それとも、そんなに僕は幼く見えるのか? マクシミリアンも年齢を言ったら、幼く見えたとか言ってきたな


「なら、頼ってね」

「うん、ありがとう」

「いやいや、君はいい友人だが、遠慮がちなのがいけないのだよ」

「……分かった。行くか」

「OK、じゃあ装備は万全ね?」

「コイツだけで良かろう」


そう言って、ハルトが剣を見せた


「よろしい、では行きましょ」

「了解」




優希に連れられて、王都の出入口へ着いた

なんか、上手く行き過ぎな気がして不安になるけど大丈夫だよね?


「さて、出発しましょう」


優希の言葉に頷く。

旅団の皆がいる町、アスビスまでの旅の始まりだ!!

申し訳ありません、少し短いです


それでも、読んで頂けたら幸いであります。

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