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この世界で  作者: 甘栗
28/73

第28話 借りてくぞ

宿屋から出て僕はマーカスさんの後について歩いている

これから、マーカスさんの知人に会うわけなのだけれど、どういった人達なのかがさっぱり分からない

まさかと思うけど全員が全員、目の前の人みたいな人だったらどうしよう?

あり得ないけど、もし、もしもそうだったら―


『やあ。僕はマーカスの同志さ』

『同じく僕もマーカスの(ry』

『そして、僕も(ry』

『おっと、(ry』


「―うわぁ、ナイワーナイワー。コレハナイワー」

「ん? どうかした?」

「あ、なんでもないです。あはは」


僕の呟きが聞こえたのか本人が振り返って尋ねてきた、それを全力で誤魔化した

イヤすぎる。悪い人ではないんだけどマーカスさんみたいな人は疲れそうだ



「まあ、2日目は、唯一遅れてやってくる奴の顔を見て解散だからね

皆、ワンパターンに飽きてたから君の話題はちょうど良かったよ」

「はあ。」

「つれない返事だねえ。っと、着いた着いた」


着いた場所は、教会だった。屋根の中央に十字架があるし教会のハズだ

教会の扉を開き、中に入っていく2人に僕も続く

中には3人の人が話し込んでたが僕らに気付き止めた


「やあ、諸君。連れてきたよ」

「へえ、その子?」

「そ、僕の部下のシア君だよ。アイリーン」


と、昨日出会った頭にイヌミミを着けたあの女性が聞いてくる

え? あの人もマーカスさんの仲間なの?


「まあまあ、可愛らしいお嬢さんね

娘みたいだと聞いて期待したら、予想以上だなんて」

「だろだろ? シンシア

僕の自慢なんだよ。ノリが良くてね、やる事が危なっかしいんだよね」


とは、修道服を着た緑髪に碧眼のエルフの女性が


「しっかし災難だったなー、マーカスの下で働いてるばっかりによ

あ、俺はライだ。よろしく」


と、黒髪、黒い瞳に褐色の肌をした男性が僕に声を掛けてくれた

ここにいる人達が、かつての仲間って事はみんな幾つなんだ!?

だって、リントさんから教わった話じゃ獣人の人は人間より少し長生きするだけなんじゃないの?

というか、人間がいるよ!? 普通の人間なのにどういう事!?

あ、いかん。混乱してきた


「昨日出会ったわね、お嬢さん

まさか、貴女が彼の仲間だなんて意外だわ

私はアイリーン、種族はウルブズ(狼の獣人)」

「あ、う、そうですね」

「どした? アイリーンがなんかやったか?」

「いえ、なんだか緊張してるみたいね」


昨日出会った人、アイリーンさんとライさんが話しかけてくるも、僕は混乱してて周りをキョロキョロと落ち着き無く見回すしか出来ない

そんな僕を囲んで、若いわねぇとか言いながら談笑している


「ああ、彼女はきっと貴方達の姿を見て混乱してるのよ」


エルフのシンシアさんが、僕の肩に手を置きにっこりと笑いながら2人に言った

そうだよ、なんで若いままなんだよ!

訳が分からないよという意味を込めて、僕は同意を示すべく頷いた


「そうなの?」

「言われりゃそうかもな」

「シア君、この2人は例の1人の作成中の魔法の失敗に巻き込まれた影響だったっけ?」

「ええ、そのお陰で老化が非常に遅いのよ。」


マーカスさんの言葉に、アイリーンさんが頷いた


「どんな魔法なんですか?」

「「さあ?」」

「………」


思わず絶句

どうやら知らないらしい、自分の体に凄い影響を及ぼしたのに気にもならないなんて


「そうだな、ま、いいんじゃね?

長生きしちまうなら、それはそれで、そんだからお前とも会えたんだし」

「そうなんですか?」

「そーそー、気にしたら負けってな」

「そうね、慣れたわ」


本人達が気にしないなら、いいのかな?


「しっかし、ルミナみたいに眼が金色だな。それは昔から?」

「あ、はい」

「そう、彼女とは違うのね」

「え? どういう事ですか?」

「あー、アイツはなんか終戦間近に急に黒から変わったんだよなー」


ルミナ、マーカスさんの初恋の人らしいけど。終戦間近に瞳の色が変わった?

『魔眼』だろうか? 特殊な能力を宿した瞳。異世界トリップ以外に僕が密かに憧れたものだ

だって、やってみたいじゃん。『うっ、右目が疼く!?』って


「僕個人の意見は、ルミナの瞳の変化は魔眼だと思っていたけどねー。シア君の色は地みたいだから。あやふやだけどね」

「でも、何かしらの能力を宿してる感じではなかったわね」

「って、タンマタンマ。今日はシアだっけ?

いるんだし。考えるのはまたの機会にしよーぜ」

「アタシも賛成よ、彼女には関係ないもの」


ライさんの言葉にシンシアさんが同意をし、その話は打ちきりとなった

それから、話題は僕の事に変わっていった

そうして、1時間が経った

デイビットさんが苛立ちながら、扉を睨んでいるのをマーカスさんとアイリーンさんが宥めていた


「来ないな~」

「まあ、彼は昔からマイペースだったもの

今は、旅をしてるんだったわね」

「みたいね、まったく」


まもなく11時、なのに現れない最後の人

シンシアさんの話だと、バカでいい加減で気が利かないわ、約束は守らないしどうしようもない人で、当時の軍の中で最高戦力だったらしい

なんか散々な言われようだった

みんな、その話を聞いてニヤニヤしている。なんだろ

え、どういう事?


「マクシミリアンの言った娘はおるかっ!!」


バーンと勢いよく扉が開いたと思ったら、20歳くらいの見た目の男性―黒髪に紫の瞳をしていた―が大きな声で叫びながら、こっちに歩いてくる

マクシミリアン? あの人とマクシミリアンの関係が分からないけど

たぶん、僕の事を言ってるんだよね?


「カイン、君は何を言ってるんだい」

「マーカスか、久しいのぉ。じゃが旧交を暖めるのはまたの機会にな」


カインと呼ばれた人はマーカスさんをあしらいながら、そのまま辺りを見回している

と、アイリーンさんが近寄っていた


「誰? そのマクシミリアンって?」

「おお、アイリーンか。マクシミリアンはワシの友人よ。なんでも変わった娘と知り合ったと…ん?」


あ、僕に気付きこっちに来た


「マクシミリアンの言った通りの容姿よ、目立つ事この上ないな。

さて、ワシはマクシミリアンの使いだ。娘よ、来てくれぬか、マクシミリアンがまもなく王都に着く故にな」

「マクシミリアンが来るのっ!?」


あ、しまった。思わず答えてしまった

ニヤリと悪い顔をするカインさん、と固まる僕の右腕を掴み走り出した

思わず転びそうになるも、なんとかバランスを保った


「嬢ちゃん!?」

「シア君っ!?」

「ほお、お主らのツレだったか。ではしばし借りるぞ」


カインさんの前に、アイリーンさんが立ち塞がって構えを取っていた


「アイリーンの体術か、懐かしいが、また今度じゃな……『フラッシュ』!」


名前のわりに目眩ましだけの初級魔法だったりする、それを直視してしまったのか目をキツく瞑りながら、カインさんに蹴りを放った

それを後方に跳んで躱した


「忘れておった、そう言えばウルブズだったな」

「そう、忘れないで。それでなんのつもり?」

「先刻に言った通りじゃよ、サラバじゃ

『ショット』」


壁に向かって、人差し指を構えて―銃みたいな構え、人差し指を突き差して、親指が上を向いた状態―魔力を撃ち穴を開けた


「ああ、教会がっ!? カイン、貴方って人はっ!!」

「わーはっはっはー♪

むっ、シンシア、相変わらずの美人よな。では、またいつか修理費は出す」


僕を急に担ぐと、外に飛び出し、跳んだ


「えっ? 嘘だぁああ!?」

「楽しいのぉー!!」


そのまま跳んで、屋根を跳んで移動していくカインさん

僕はジタバタと足掻く


「これこれ、落ちたら危ないぞ

それに、マクシミリアンも来たが仕方ない」

「っ!?」

「ワシも友人も知人を落としたくないんでな、すまぬ」


首筋に強い衝撃が走り、意識が薄くなり視界がボヤけていく、そんな中で視界に真っ白な龍が見えた


「……マクシ……ミリ、アン?」」


そこで、僕の意識は途切れた

マーカスさんの軍時代の仲間の集合回&シアの誘拐


あれ? 最初はマクシミリアンが突然現れていきなりシアを連れてくハズだっのに

何故か、初登場のカインが誘拐してしまいました

…いくらノリで書いてるからってコレは…どうして、こうなったorz

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