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この世界で  作者: 甘栗
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第21話 試していいかい?

昔、姉に教わった言葉があった。姉は僕の4つ上で

男の僕よりも強くて頼もしい人……だった、今となっては会うことも出来ないけれど

しかし、自分が正しいと思った事をやり遂げる人

僕の憧れの人だった、そんな姉にどうしたら、そんな風になれるのか? と尋ねたのは中学の時だった


姉は大笑いしてから、笑われてむっとした僕に対してこう言ったのだ


「いいか、――?

これは、祖父の受け売りだがな

自分の行動とその結果に、責任と覚悟を持て

私達は、いつまでも子供ではいられない。いつかは働く。だからこそ、自分がこうだと決めた行動やその結果で、何が起きてもいいと自分の責任だ。それを恐れない覚悟を持つんだ」

「責任と覚悟? わけわかんないけど、むずくない?」


 その言葉に、バカにしたように笑ってから僕の頭を拳骨で小突いてきた。姉はいつも、僕になにかしらからかってくる、小突かれて、睨むも涼しい顔を浮かべていた


「ああ、むずいよ。今だって投げ出そうかとおもってたが……そうだな、まあ、私がお前にとっての憧れだと言うのなら、続けてみるか

――、お前には無理だと思うがな」


 そう言って、僕に背を向けて歩いていった

僕は、その後ろ姿をかっこいいと思ったし、自分もああなりたいと思ってた

実践するの自体がムリだったけど

それでも、忘れらないようにしようて決めた言葉のハズだったのに、どうして、最近まで忘れてたんだろうか?


 僕には、ムリだったけど。出来るなら実践したい

せめて、今の自分が取った行動。『死にたくないからこの世界に来た』という行動については


「そう、君はがんばるね。君の行動がもたらす結果を受け止めるといい

 少なくとも、君は今日までそうしようとしてきたんだから」


 誰かの声が聞こえた気がする、彼だろうか?

あの奇妙な少年、さっきまで姉との記憶を思い出して僕が見ていた景色がガラスが割れるみたいに粉々に砕けて消えると、真っ白な空間に変わった

 ここは、僕の夢だったのか


「そう、ここは、君の夢

現と幻の境界線上にある世界。シア、君だけの世界だ」


 うっすらと姿が浮かび上がり、それは、実体を伴って現れた。彼は口許に笑みを浮かべながら、近づいてくる

普段着ている服の上に黒いローブを纏っていた

 ただでさえ、怪しいのにローブはそれを強調させている。少年の顔を窺うと紅い2つの瞳が妖しく輝き夢のハズなのに心臓の音が聞こえた。近づいてくる彼に思わず距離を開けようと後ずさる

 前にも、彼の瞳が紅く輝かしていた事があった。あの時、僕は………


「今日は、どうしたの?」

「フフ、今日は、興味があって来たんだ」

「……興味?」


 彼が歩みを止めて、クスクスと笑っている

その姿に、前に感じた安心感なんかなかった。ただ、危険な感じがした

 額から汗が流れて、止まらない。現実は温厚な気候で暑くなんかないけど

ここは、現実じゃないから、関係ないな


「君に与えた2つの特典、あれはちゃんと役立ってるのかをね。

―――戦おう、シア

そして確認させてほしい、ボクが与えた君の力が役立ってるのかを」


その顔は、真剣だった。だけど、言い様のない恐怖もあった。もし、ここで死んだらどうなる?

やだ、両手で胸を抑えて、少年を見つめる

彼と今の僕は、身長にあまり差がない。それが関係あるか分からない、不利な気がする

………やるしかない、ついさっき決めた。これも、自分の行動の結果だ。なら、やるしかない

僕の腰に、使ってる剣が現れた


「それでいい、さあ、始めよう?」


 視界から、突然少年が消えたかと思ったら、目の前に現れ僕の腹部目掛けて拳を振るってくる

それに距離を開けて、避けれないならクロスガードする。腕から伝わる衝撃と痛みによろける


 彼は、右足を軸にし体を捻り左足で蹴りを横腹目掛けて浴びせてくる、咄嗟に痺れてる両手で防ごうとしたけど、失敗しそのまま転がる


「あがっ!?」


転がるのが止まり、上体を起こそうとするも上手くいかない

息が詰まりそうになる、ッ、強いし冗談じゃないみたいだ


「いつまで寝そべってるの? 起こしてあげるよ」


 左手を正面に突きだし、彼の体から魔力の流れが感じれた。これもミリアさんのおかげだけど

ふわりと、体が浮いた。抵抗しようと足をばたつかせても意味がない


「うっ…くぅ、動け、ない!?」


 魔力を僕も、体に回してみるも僕は浮いたまま

魔力を回した結果か辛うじて動く右手で鞘から剣を抜いた

笑みを浮かべ、ゆっくりと僕を降ろす

ふらつきながらも、剣を杖がわりにし立った

バクバク言う心臓の鼓動がうるさく感じる

 僕は、剣を下段に構え、剣先が地面につくのも構わず姿勢を低くする

勢いを着けて走り、剣を引きずりながら彼に近付く。何も構えない彼に不安と恐怖がある


「でぇぇやぁあぁ!!」


 距離をつめて、下段から振り上げ斬りつけも刃は見えない壁でもあるかのように弾かれた。その衝撃で僕は後ろに2、3歩下がった

 実力が違い過ぎる!! 最初の攻撃なんか分からなかったし、魔力の扱いもあっちが上だ

なんとか、しなきゃ。僕は上段から下段に、そして中段から連続で剣を振るう、剣による攻撃は全て通らなかった


「終わりかい? 最初の特典はまあまあ、か

なら、2つ目は――?」


僕は、剣を思いきり振りかぶり投げた。一直線に彼の胸元目掛けて飛ぶもやはり弾かれ、落ちた


「なるほど、悪くない発想だ」

「こんのおおぉー!」


 ダガーを抜いて、再度連続で攻撃するけど弾かれ、今度は尻餅をついてしまう。見下ろす瞳が恐くて、死ニタクナイ

 頭を抱えて、ガタガタと震える。攻撃が通らない。どう足掻いても勝てない


「さて、次だ」

「い、いやぁ…イヤアァアア!!」


僕は恐怖に駆られて叫ぶと、光が出て魔法陣を即座に出現させた

肩で大きく息をする僕を、涼しい顔で見下ろす。立ち上がり、光の粒子を制御してやけくそ気味に攻撃する

 彼のあの壁がピシッと音をたてる、なぜか満足げに笑っている


「こちらは、及第点だね

ありがとう、助かった。だから、終わりだ」


 彼の頭上と足下に、僕のと同じ魔法陣が現れた

違う所は、紅い光であるということ

ゆっくりと、右手をあげると光の粒子が集まり巨大な塊になっていく


「今度、会うときはこんな事はしないよ

では、おやすみ。いや、現実ではどうだろうね?」


 クスクスと笑いながら、右手を振り下ろした

巨大な光の塊が、僕目掛けて迫ってくる

魔力障壁が、防ぐも亀裂がすぐに入り割れて消え去り、僕を飲み込んだ

 最後まで、少年は笑顔のままで



……僕は、そこで、意識を手放した

あん畜生との戦闘回です


戦闘回は、一方的な展開ばかりになってしまいます


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