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この世界で  作者: 甘栗
15/73

第15話 気にしてたけど…

「まさか、王都から去ってこんな辺境の町にいるなんてな」

「そちらこそ、その辺境の町に何の用件かな?」

「ユウキの付き添いだ」

「おや、そうか」

「貴様、何が言いたい?」


睨み合う両者

僕は、どうしたらいいか分からず二人の顔を交互に見る

どうしてこうなった!?


「おや、ウチの旅団とお客さんが今にも殴り合いを始めそうな雰囲気だね~」


この場の空気には似つかわしくないのんびりとした言い方

団長だ、ニヤニヤと愉快そうに笑みを浮かべてながらやってきた


「ケンカする気はありませんよ、団長」

「おや、そうなの?

じゃあ、なんだい?」

「単に知人がいたので驚いただけだ」

「あら、 そのわりには険悪なムードだったけど?」


優希がマーカスさんの後ろからひょっこりと顔をだした


「ハルト、とりあえず2日間は残るわ

いい?」

「わかった、では宿に戻ろう」

「はいはい、では

シアと団長、後の二人にもよろしく」

「りょーかい、ユウキ

詳細は明日、役所で」


役所?なんで?

疑問に思い優希を見ると優希が僕に小さく手を振ってくれたので、振り反した

にこり、と笑いハルトの背中を押しながら歩いていった

ハァーとリントさんが溜め息を吐いた


「リント、ケンカするならシア君の見えないとこでやりなよ

戸惑ってたよ?」

「そんなつもりは、ありませんよ

奴とはただの腐れ縁です。だから、シア

お前も気にするな」

「えっ?

あ、はい」


腐れ縁、か

でもリントさんから、釘を刺された

過去に何かあったんだろうか?


「それは、いずれ君から話してもらえると捉えても?」

「話す気になったらでよければ」

「わかった、この話はいったん置いといて中に入ろう」

「あ、はい」

「シア」


リントさんに呼び止められて、振り向く

なんだろ?何だか険しい顔つきだけど

ハァーとまた溜め息


「いや何でもない、では、戻ろう」

「はい」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


お風呂に入り、湯船の中でさっきまでの事を考えてみる

普段はボーッとするところだけど、それよりも

なんだったんだろ?

その日のリントさんは、夕食を済ますと書斎に籠っていった

ミリアさんと顔を見合わせると、やれやれと肩を竦めた

ミリアさんも分からないらしい


「ユウキについては知ってるわ」

「ホントですか?」

「ええ、前に話した突然抜けたメンバーっていうのが彼女

実力は凄いんだけど、いつも、マイペースで自分で受けた依頼もよくサボってたわ」

「ただ、去年の夏に急に抜けると言って飛び出していったの

まさか、王都とはね」

「王都になんかあるの?」

「うーん、そればっかりは彼女しか分からないわ

そのハルトって男とリントの間の事もね」


以上、回想終了

アレか、リントさんと因縁があるとか

はたまたケンカ別れした友人とか


むぅ、わからん

両手を上に挙げてお手上げ状態

もう、考えれん

お湯を、両手で掬ってじーと見つめてみる

…やめた、出よう

なんか、逆上せてきたし

風呂から出て、身体をタオルで拭き、手早く着替えて、自室に戻り眠る


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


次の日のお昼頃、なんで、役所に行くのか気になったのでマーカスさんが出かける前にちょっと引き留めた


「察しの悪い子だな~」

「どういう意味ですか?」

「おっと、ゴメンゴメン

彼女らは、あの討伐した化け物絡みで来たんだよ」


化物、思わずお腹を見る

僕のお腹を貫いたあの?


「いわば、国からの使いだね、どうも、各地でも出たらしいよ」

「えっ?そうなの?」

「ま、軍事演習が終わったら消えたらしいけどね

では、パパエルフは仕事に行ってくるよ」


パパエルフって、なんか期待した眼差しだし

えー、言うの?誰も居ないよね、なんか照れるんだけど


「い、いってらっしゃい、父さん」

「ノンノン、パパ

パパがいいなー♪」

「あ、う…いってらっしゃい、パ、パパ」

「はーい♪ウチの娘、チョー照れ屋

自慢しちゃおー」


やっちゃった、やってしまった。もう恥ずかし過ぎて顔が熱い

手でパタパタと扇ぐけど、意味ないし


「バカに付き合う必要はねえぞ」


ハッとして振り返ると呆れた顔したデイビットさんが立っていた


「い、いつから?」

「パパエルフって辺りからだな、んじゃ、お嬢ちゃん、俺も出るわ

帰ってくるのは、夜中になる」

「いってらっしゃい」


ほとんど見られてた、何かを失ったような気がするし

見られてたいたというその事実に固まってしまった

デイビットさんを見送ってから、どうしようか考える


「あら、シアちゃん

どうしたの?」


考えてると、ミリアさんが声を掛けてくる

その横には、リントさんもいた


「ミリアさん、とリントさん?」

「そんな所で固まってどうした?」

「えっと、これからどうしようか考えてました」

「そう、じゃあ、三人で出かけましょうか」

「いいんですか?」

「かまわない、さ、行くか」


町の中を三人で歩いて、食材を買ってから、ミリアさんの熱望で服屋にいる

男性用の服を適当に選ぶミリアさん


「何してるんですか?」

「我々の服を買ってるらしい、だいたい同じ服を着てるのが我慢ならなかったようでな」

「は、はあ」


そうですか、まさか、そんな事だと思わなかった

「生きるか死ぬかの瀬戸際なのよ」と叫び道行く人の注目を浴びた理由が服、だなんて


「シア」

「はい?」

「アイツの事はいつか、自分の中で整理がついたら話す

だから、待て」


リントさんの様子を窺う、視線は、どこか遠くを見てるようだった

それを見て、「はい」としか言えなかった

店を出たら、店の前にハルトがいた


「買い物か?」

「ああ、そうだ」

「あの、リントさん」

片手を挙げて、僕の言葉を遮る

「で、今日は何の用件だ?」

「俺も出歩いてるだけだ、だが、ちょうどいい」


真っ直ぐにリントさんを見据える、力強い意志が籠った瞳

リントさんは、眼を逸らさずに対峙する


「リント、いやリントさん

頼むから、王都に来い

あんたの親友でもあった親父が会いたがっている」

「マイクがか?」

「ああ」


えっと、どうしよう?

何かあるみたいだけど、気まずい、ボ、ボケかませばいいのか?

気を逸らして、うやむやにすればいいのか!?


「ピーナッツスキー!?」

「誰がピーナッツスキーだ!」

「シア、落ち着け

君が取り乱してどうする、なぁ、ピーナッツスキー?」

「アンタも便乗するな!?」


アレ?昨日までの感じじゃない?


「えーと、二人は仲悪いんじゃ?」


二人して、なに言ってんだみたいな顔をするな


「いや、シア

俺とは、普通だぞ?」

「じゃあ、昨日はなんで?」

「単に驚いただけだ、もっともコッチと問題があるのは俺の親父だが」

「すまんな、その事も込みで、いずれ話すと言ったつもりだったんだが」

「…紛らわしかったわよ、アンタら」

「ハルト、検討しておく

だから、待て」

「わかった、戻ったら伝えておく」


ハルトが、僕の頭を軽く叩いてきた

それに対し、無言の抗議をするも笑いながら行ってしまった


「さて、帰りましょ?」

「そうだな」

「リントさん」

「ん?」

「リントさん、王都に行くんですか?」

「いや、行かないが

だいたい、検討するだけだ」

「あらあら、寂しく感じたのね?」


別に寂しくなるとかそんな訳ではない、ただ、聞きたかっただけ

それだけなんだけどな、少しハルトとの関係は心配したけど


「やれやれ、この事はパパエルフに伝えておくか」


は、はい?今、なんと?

や、聞き間違えだ、うん、きっとそうだ


「パパエルフか

昼間の一件、書斎から出たら聞こえてね」

「わ、忘れてくださいっ!!」


笑うな、二人して、笑うなっ!!

うう、心配して損したっ!

今日は厄日だー


何でしょう


シリアスにしようとしたつもりが、コメディ風になってました


これはこれでいいや、と感じてしまいました

一部、追記、修正しました(2/1)

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