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この世界で  作者: 甘栗
13/73

第13話 『何か』を忘れた

13話目です

真っ白い場所に、僕はいた

地面は、波紋を広げている

ここは……?



「ああ、すまない

現実の君は、今は眠っているよ」


「やっぱり、君か」

「久し振りだね

シア」

「あれ?それよりも

なんで君がいるの?」


確か、幸せになってとか言って消えたのに

そこにいつもの笑顔で立っていた

彼をジーっと睨む


「あはは、確認だよ

多分、逢えるのも後何回かだろうしね」

「そうなんだ

それで、確認って?」

「……」


どうしたんだろ?

何かあったのか?


「シア、君は昔の事は覚えているかい?」

「……?

うん、覚えてるよ」


それが、どうかしたんだろうか?

昔の事を覚えてるかなんて聞いて?

あの時の事だよね?

もちろん、彼の提案に乗ってこの世界メガリスにいるんだから


「それはちょっと違うかな

そうではなくて、それ以前の事は?」

「…うん、覚えてる

あれ?何かあったっけ?そう言えば、僕はシア・ポインセチアだったっけ?

昔の僕は男だったような?」


それって、彼がくれた名前で

昔は?

いや、僕自身の事だけが記憶からあやふやだ

彼を不安になり、見つめる

申し訳なさそうに、顔を反らしていた

しかし、何かを決めたように、僕を見据える


「そうか、君がなくしたのは『君自身』か

シア、落ち着いて」

「で、でも」


彼が、僕の頭を撫でてくる

拒む事も、出来るハズなのに僕はしなかった


「落ち着いたかい?」

「うん、ありがと」

「…元凶は、ボクだ

責めていいのに」

「君の提案に乗っておいて、それは出来ない」


そんな事をしたら、僕は自分を許せなくなる気がするし

したらしたで、ずるずると引きずるかもしれないからね

彼だけを責めれない


「…ありがとう、ーー

ボクが気紛れで誘った相手が君で良かった」


ーー、口にする事も出来ない言葉

それが、多分、僕の名前だったんだろう


「時間切れ?」

「そうだね、実は君の事後処理が済んだ

ようやく、死神が納得したよ」

「そっか」

「かつての君は、既にいない

だから、あの世界には戻れない」

「……そっか、なんか最近になってそんな気はしてた」


戻れても今の姿じゃ、ムリだし

それはすごく寂しい事だけど


「またね、シア」

「名前」

「名前、教えてよ」

「ないよ、ボクに名前なんか

それでは、また」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


頭がボーッとする

何かの夢を見ていたような気がするけど、思い出せない

何か、何かを無くしたような?


「ま、いいや」


って、ここは自室?

帰ってきたのか

よっと、ベッドから降りて鏡を見た


「…今日は、ピンクのパジャマか

やった。ズボンだっ」


些細な事に気づいて、はしゃいでから我に返り恥ずかしくなった

…そう言えば、お腹に突き刺さったはず

恐る恐る、上着の裾を捲る


「傷が、ない」


……治ってる?

傷痕もないし、うーん、ミリアさんが治してくれたとか?

とりあえず着替えよ、今日は、青のエプロンドレスにした

靴下は、白と黒のストライプのハイソックスで

理由はないよ、クローゼットにズボンがなかった以外は


さて、一階に行こ

ドアを開けたら、リントさんが立っていた

手に食事を載せたトレイを持って

あ、えーと


「起きたか、歩けるようだな」

「あ、はい

なんとか」

「なら、食事はどうする?」

「一階で、食べます」


ぷっ、と吹き出し身を翻し階段を降りて行った

え?無言!?

せめて、何か言ってよ!!

慌て後を追いかける


「あっ、ちょっと、待ってくださいよ」

「断る」

「なんで!?」

「メシが冷める」

「おやおや、何だか騒がしいね」

「あ、マーカスさん」


僕を見て、ふっと微笑み頭を撫でてくる

何事!?

なんで、何があったの?

困惑する僕をよそになで続けてくる


「いやー、実に一週間ぶりに起きたか

おはよう」

「おはようございます?」

「うんうん、元気そうで何よりだ

身体に違和感は?」

「違和感?

特にないです、お腹空きましたけど」


空腹以外は、特にないな

あれ?今なんか言ったような?


「え、今なんて?」

「元気そうで何より」

「その後」

「一週間ぶり」

「一週間ぶり?」

「うん」


そんなに寝てたんだ?

知らなかった

ポン、と肩を叩かれる


「ま、積もる話は後で

食事の後にしよう」

「シアちゃーん」

「うわっ!?」


食堂に入ろうとしたら、押し倒された

そのまま、頭を打ったし

いたい


「うう」

「ああ、良かったわ

貴女が、起きて」

「あ、心配かけてすみません

大丈夫ですから」

「気持ちはわかるが、彼女は起きたばかりだ」

「あ、そうよね

ごめんなさい」


ミリアさんが離れた

リントさんが、説得しなかったらあのまだったのか?

でも、心配かけたし。仕方ないのかも


「まずは食事だ

君もいつまで倒れてる」


手を差しだされた

僕は、ゆっくりと掴むと力強く引っ張り起こされた


食事を、済ましてからみんなから色々と聞かれた

あの時、何があったのか?

どうやって、瀕死の状態から回復したのかと

それらの質問に、答える事はできなかった

なにせ、僕自身もよくわかってないんだから

ただ、傷が独りでに治ったと聞いた時は驚いた


「君もわからないなら、仕方ないか」

「すみません、ただ、倒したのは覚えてるけど

あの時の力がなんなのかと聞かれると、何が何だか」

「ふむ、そっか

わかったよ、では、今日はゆっくりしなさい」

「ありがとうございます」

「シアちゃん、何かあったら言ってね?」

「あ、はい」


甘え続けるつもりはないけど


「君は、自室に戻って安静にしてろ」

「えっ?

でも、僕」

「周りに心配かけておいてか?」

「……あ、はい

そうします」


ひいっ、睨まれてる!?

慌てて食堂を飛び出し、階段をかけ上がり

自室に入る


「……ハァー、恐かった」


心配かけてたもんね、仕方ないか

とはいえ、あそこまで睨まなくてもいいのに

はあ


「シア、私だ」

「あ、はい

どうぞ」


部屋の中に入ってきた、何か用なんだろうか?

まさか、説教!?


「いいか

これからは、周りを警戒する事を怠るな

あの結果は、君自身のミスが招いたものだ」

「反省してます」

「本当か?」

「…はい」

「そうか、ならいい

ミリアが心配していたしな。無論、私もだが」

「…心配してくれたんですか?」


ちょっと意外だ、でも嬉しい


「ああ、君は、新人だしな

君が死んでしまって、また人を探すのはゴメンだ」


仕事の事でか、ですよねー

そうなんじゃないかとは思ってましたよ

でもちょっとだけ、期待したんです、僕がバカでした


「冗談だ

だから、そんなに落ち込むな。君が無事でホッとしているよ」

「え?」


リントさんは、それだけ言って出ていった

…えーと


「あ、ありがとうございます」


よくわからないけど

貸しが増えちゃったのかな?

なんだったんだろ?

食事と質問のシーンだけ浮かばなかったので省略してしまいました

無念、私の想像力が乏しいばっかりにorz

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