とある小国の王
はい、トランぺッターです。
三国志以外で好きな歴史を書いてみよう、という変なノリでこのアーサー王物語を書いてみました。某腹ペコ王とは違うのでご注意を。
時は西暦500年程の時代。ブリテン島のイングランドには国があった。王の名はアーサー・ペンドラゴン。この話はこの王の誕生と、この国の崩壊の物語。
アーサーは幼い頃、エクターという騎士の元で育った。本来彼は父である前国王のウーゼル・ペンドラゴンの息子なのだが、魔術師マーリンがエクターに預けたのである。
そして青年時代、彼は人生を大きく変える事件に遭遇する。国王ウーゼルが亡くなり、後継ぎ争いが活発になった頃、カンタベリー寺院に不思議なものが見つかる。それは、石に突き刺さった剣である。そしてそこには、『この剣を抜きし者は王となる』と書いてあったのである。この文言に挑戦した人間は数知れず、様々な騎士や王が挑戦したが、抜けなかった。この剣は後に『カリバーン』と呼ばれるようになる。ちょうどその頃、アーサーは兄、ケイに剣を届けるため宿に戻る途中、これを見つけたのだ。
「なんだ、これは?」
そして、アーサーは剣の柄を持ち、あっさりと抜いてしまった。そして、宿に戻ったアーサーは父であるエクターに報告した。
「なんかごっつい剣拾ったんだけど…。」
「まさか…、そいつは…。」
エクターは驚いていた。あのアーサーがまさかあの剣を抜くとは思ってもみなかったのである。そして、エクターは考えていた。
(あの剣を抜いたからには父が私でないことを伝えるべきか…?)
そして…。
「なぁ、アーサー。実はな、私はお前の父ではないんだ。そして、ケイの弟でもないんだ。」
「なん…だと…?」
突然、このことを打ち明けられたアーサーは困惑していた。目の前にいる人物は自分の父ではなかった。そして敬い、慕ってきた兄は血を分けた兄弟ではなかった。この時の精神的な傷は計り知れない。
そしてアーサーは家を飛び出た。アーサーは気になっていた。今まで父と思っていた人が違った。では本当の父親は誰なのか…。外をトボトボを歩き黄昏ていると、奇妙な男に出くわした。
「お久しぶりでございます。アーサー殿。」
なんとこの男は自分の名前を知っていたのだ。アーサー自身、こんな男は知るはずがなかった。
「あんた…、誰だ…?」
「私はマーリンでございます。お忘れですか…?」
「あぁ、もちろんだ。」
「そこは威張る所ではありません!そんなあなたにひとついい事を教えてあげましょう。あなたの父親の事です。」
「何…?」
「あなたの父親は、ウーゼルでございます。これからはあなたはその剣を以てして王となるのです。」
「やるしかないのか…。ならばやってみせよう!」
こうしてアーサーはイングランドの王となった。しかし、アーサーの即位は順調と言えるものでは無かった。それは当然のことであった。ウーゼルの後釜を狙っていた貴族や領主が反乱を起こしたからである。
「こんなんじゃ、満足できないぜ…。」
反乱軍はみな、このような思いを胸にアーサーに迫ってきた。このアーサーはまだ王になったばかり。軍略を知らない。そこでアーサーは頭の切れるマーリンに意見を聞くことにした。
「どうする?」
「こうしちゃおう!」
こうして、なんやかんやで反乱軍を鎮圧した。どうやって鎮圧したかは聞いてはいけない。こうして、ブリテンに平和が戻ったはずだった。しかし、ブリテンを狙うアングロ・サクソン人が動き出したのだ。
「…王様疲れた。寝たい…。」
「働けバカ!」
こうしてまたブリテンに平和を取り戻した。
「なぜなら俺がキングだからだ!」
そしてブリテンには平和な時代は訪れる。しかしそれは長くは続かないことは、歴史が証明していた。
ランスロット。この名前を聞いたことのある人間は多いだろう。アーサー王に仕える円卓の騎士筆頭である。そんな彼が皮肉にもブリテン崩壊のきっかけになってしまったのである。
この時、アーサー王はギネヴィアという女性を妻として迎えていた。だが、このギネヴィアをランスロットは愛してしまった。
(あのお方は王のご婦人だ。ご婦人なんだ…。しかし、私という人は…!)
これによりブリテンは崩壊していく。人の歴史には常に女性が付きまとう。ブリテンを支配したアーサーもこの事実から逃れることはできなかった。
そして、ギネヴィアを処刑する時、円卓の騎士の一人であるガウェインの弟、ガヘリスとガレスが処刑場に立ち、護衛をしていた。そこにランスロットは現れ、ガヘリスとガレスを含む護衛をなぎ倒し、ギネヴィアを連れ去ってしまった。ここから、アーサー王とランスロットとの泥沼の戦いが始まった。
「ギネヴィアを返せ!俺の愛した、たった一人の女なんだよ!」
「それなら俺だって!」
アーサー王、ランスロットは共に人望があった。人を魅了する何かがあった。だからこそブリテンは二つに分かれてしまったのかもしれない。
だが、戦いも望まない人間は多くいる。その中の一人であるロチェスター僧正はアーサー王とランスロットの仲を持ち、ギネヴィアをアーサー王のところに戻した。
「ね?もうやめましょうよ…。みんな仲良し。それでいいじゃないですか。」
そして、一年間の休戦期間を設けたのである。
一年後、ロチェスター僧正の働きむなしく、戦いは終わることはなかった。
そんな中、ランスロットは円卓の騎士同士で戦うことに嫌気がさしていた。
(もう嫌だ…。みんな仲間だろ…?)
そして、ランスロットは使者を向かわせ和議を申し出た。
「もう戦いはイヤでござる!疲れた!」
「いくら叫ぼうが今さら!これが定めさ!知りながらも突き進んだ道だろう!」
アーサー王はあきれて言った。そこにガウェインが割り込んだ。
「弟の仇!いざ覚悟!」
ガウェインはランスロットが本拠地にしていたフランスに先発隊として乗り込み、一騎打ちをしかけた。
「その意気込みはよし。だが、ひよっ子では話にならぬ!」
ガウェインはこの一騎打ちで重傷を負ってしまった。
「ぐふっ、不覚…!」
こうして一か月が経った。その頃、アーサー王の本拠地であるブリテンで誰も予想しない事件が起きた。息子、モードレットが反乱を起こしたのだ。
これを機にガウェインはとりあえずの不戦の和議を結び、ブリテンに戻り、モードレットと戦った。しかし傷がまだ癒えておらず、モードレットにそこを狙われ、この世を去ってしまう。
「くっ、ガウェインまでも…。」
アーサー王は彼の死を大変悔やんだ。そしてある夜。
(王よ…、我が王よ…。お聞き下され。)
「…!ガウェイン!」
ガウェインが夢枕に立ったのだ。
(王よ、これが私の最後の言葉です。よく聞いて下され。ランスロットと和議を結び、モードレットを討ってください。)
「わかった。」
こうしてアーサー王はランスロットと和議を結ぼうとした。しかし…。
「半端な気持ちで入ってくるじゃねぇ!こっちの世界によぉ!」
和議に失敗してしまったアーサー王は単身モードレットに挑み、勝つには勝つが、重傷を負ってしまう。アーサー王は自分の傷の深さを悟り、側近であるペディヴィアに剣を湖に投げ入れるように頼んだ。すると、なんということでしょう。水が剣をつかみ三度振って沈んだのです。それに驚いたペディヴィアとアーサーは水辺に降りた。するとそこには三人の貴婦人がいた。その一人はアーサー王の姉であるモーガンだった。そしてモーガンはアーサーの頭をやさしく膝に乗せ、呟いた。
「弟よ、どうしてなかなか私の所へ来なかったのです?頭の傷がすっかり冷えてしまっていますよ。」
そしてアーサー王は少し息を整えてこう言った。
「私はアヴァロンへ傷を癒しに行ってくる。追ってくるなよ?」
と、ペディヴィアに告げ、船を漕ぎ出した。ペディヴィアは姿が見えなくなるまで見送ったとされている。
アーサー王が本当にアヴァロンに行ったかは誰にも分からない。そしてこの戦いはランスロットが勝利し、後にカムランの戦いと呼ばれるようになる。
そしてブリテンのグラストンベリ修道院のアーサー王の墓石には、『ここに、過去の王にして未来の王アーサーは眠る。』と言われている。
長かった…。書くの疲れた…。腰痛い…。
やっぱりあれですねぇ。こういう歴史を知っていると共通点に気づきますね。『騎士』、『裏切り』そして『女性』。三国にも戦国にも出てきますから。どこの歴史もあまり変わりませんね(笑)
では!