絹花-02
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神殿を案内してくれた時のエディさんの笑顔を思い出す。
『そうですか。あなたにそう言っていただけると、
多分陛下が一番お喜びになります。』
本当にうれしそうな笑顔。
お姉さまが大好きなんだって、そう思った。
そんなエディさんの心の中に暗黒があると言う黒の風。
それを黒の風が乗っ取る理由になんて、絶対にさせない。
「あなたはさっき言ったでしょう?誰の心にも暗黒はあるって。
だったら、あなたにそこにいる資格はないのよ。
エディさんだけが特別ではないわ!」
絶対に許すわけにはいかないから。
エディさんにお姉さまを、他の誰をも、傷つけたりさせないんだから。
「黙れ!」
黒の風が右手をかざすと、どこからともなく突風が吹いて、私やハルお兄様、リセさんを吹き飛ばす。
すごい力だ。
「リセさんっ!」
「リセ、大丈夫か?!」
一番遠く、壁に打ち付けられる形で飛ばされてしまったリセさんに、リナス叔父さんが駆け寄って抱き起こす。
「私は大丈夫です。」
リセさんはどこか打ったのか少し苦しそう。
ハルお兄様と私は、すぐにお姉さまと黒の風の間に立ち戻った。
私はかろうじて、お兄さまは瞬時に。
「あきらめの悪い輩だな。何度でも同じことだぞ。」
黒の風がにやりと笑う。
…あんな笑い方、エディさんはしない。
だけど、あれはエディさんでもある。
「そうはさせるかっ」
カイが呪文を唱えると、大きな樹の根が現れて黒の風を捕まえる。
黒の風はセレネを手放さず、逃げるように飛び上がるが、
樹の根はその足を、胴を腕を捕まえ、キリキリと締め上げる。
「くっ」
でも、それは、すぐに風によって細かく切り刻まれ、破壊される。
その間もセレネの手首は捕まれたまま、苦痛に顔をゆがめるセレネが見える。
そして根を破壊した風はカイへ向かう。
風をよけながら、カイは大きな水の塊を黒の風に投げつける。
「無駄だ。」
またも突風が水を弾き、弾かれた水の力は周囲の私たちへ返ってきた。
「いけないっ」
ハルお兄様が剣を上にかざすと、お兄様を中心に、お姉さまや私を、そしてセレネだけを包む光の輪ができあがる。
水の塊を弾くと、光はすっと消えた。
水の塊を弾いた突風は、防御していたはずのカイを捕らえ、女王の間の壁にたたきつけた。
「カイっ!」
「くそっ。大丈夫だ、絹花。」
壁の一部がぱらぱらと崩れ、その瓦礫をよけながらカイが立ち上がる。
「それにしてもあいつ、エディの力を使っているのか?。」
ハルお兄様が剣を構えなおしながら言う。
「いやー、そればっかりじゃないみたいだな。
確かにエディの力を感じるんだけど、いつも以上に風の力を強く感じる。
あいつ、風の神官とは言え賢者の力も持ってるからな。
普通力を使うときは、無意識に違う精霊の力も混ざるんだよ。
でも、今のあいつは百パーセント風の力だ。
…黒の風、と名乗るだけあって、風の精霊に何か関係しているのかもしれないな。」
カイがお兄さまに近寄りながら答える。
目は黒の風を、エディさんを見据えたままだ。
「そうか…。」
お兄様が複雑そうにつぶやく。
「もう終わりか?ではこちらから行くぞ。」
黒の風がニヤリと笑うと、再び右手をかざした。
わかっているのによけきれない!
私たちは再び壁際に吹き飛ばされる。
「お姉さま!」
お姉さまの前には、黒の風が、エディさんが立つ。
その間をさえぎるものが、何もない!
頑張って、ちょっと予約掲載なんてものをしてみることにしますよ。




