【もの5シリーズ作品短編で日間6位入賞しました】お姉さまに拾われてものの5分で激旨メシに懐柔された私のその後の話 ~前編~
数ある作品の中から、私の作品を見つけてくださり、ありがとうございます。
この作品は、ものの5分という私の作品シリーズの第一作にあたる【異世界に転生したらものの5分で最強種にエンカウントした俺のその後の話】という作品に登場するキャラクターのスピンオフ作品で、三部作の一話目となります。(この三部作は本日水曜日と明後日金曜日、その次が日曜日のそれぞれ21時に公開予定となっております。)
ものの5分シリーズ自体もランキングで入賞を果たしましたが、同シリーズの別スピンオフ短編作品が、日間6位、週間でも24位入賞を果たしました。
これも偏に私の作品を読んでくださり、応援してくださっている皆様のおかげです、大変感謝しております。
今後も皆様に楽しんでもらえるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。
昔々、あるところに私が気絶していました。
理由は単純、空腹と凄惨な光景のダブルパンチにやられて、意識を失っていたようです。
私の生まれた場所は、わかりませんが、トーイ村というところに住む、ガインさんという人に拾われて、育ててもらっていましたが、ある日ゴブリンの群れが村を襲撃し、皆連れ去られるか、殺されるかして、村は壊滅してしまいました。
ガインさんは、私を床下の物置の中に隠し、静かになるまでそこに隠れていろと言うので、私はずっと隠れていました。
村のいたるところで怒号や悲鳴が聞こえていましたが、私はひたすら息を殺して隠れていました。
やがて、外から音がしなくなったので、出てみると、いたるところに村の人達の遺体が横たわっていました。
その時私は、このままここで誰の助けが来ることも無く、自分も死んでいくのだと察しました。
そう思うと、なんだかもうどうでも良くなってきて、意識を保つのも面倒になっていたので、そのまま道の真ん中で気を失いました。
私は、どのくらいの間、意識を失っていたのかもわかりませんが、気が付くと誰かが私を抱きかかえてくれていました。
朦朧とする意識の中で、私を抱きかかえてくれている人を見ると、そこには天使様かと思うような美しい人がいました。
彼女は、最初何を言っているのかわかりませんでしたが、すぐに私にもわかる言葉で話してくれました。
そして、いつの間にか服がなくなっていたのですが、その天使様が私に服を出してくれて、お腹が空いたでしょうと言って、“ナベヤキウドン”という、それまで見たことも無い、不思議な食べ物を食べさせてくれました。
その不思議な食べ物は、信じられないような美味しさで、心も体もポカポカしてきて、辺りを見渡しても、周りには何もないし、本気で天国に来たのだと思っていました。
私を助けてくれた天使様は、私をつれてハーコッテという街まで行きました。
そこで、私のお姉ちゃんになってくれると言いました。
この時はまだ、お姉ちゃんもファーストネームだけでしたが、数日後には貴族になって、ファミリーネームを貰ったようで、その時に、私の名前もケイラ・パラディオールという名前に変わりました。
ムーシルトという街に引っ越して、次の日には更にもう一人、お姉ちゃんの妹が出来ました。
私よりも歳が上なので、私は末の妹ということになり、後から来たシェラが私のお姉ちゃんということになりました。
拾ってくれたお姉ちゃんはヒュームで、後から拾われてきたお姉ちゃんはエルフィンで、私は竜人族という、不思議な姉妹ではありますが、お姉ちゃん達とはとても仲の良い家族だったと思います。
シェラとは時々ケンカもしたけど、いつもすぐに仲直りできたし、キラお姉ちゃんとは姉妹というよりも親子な関係に近かった気がします。
キラお姉ちゃんは、とても優しくて、私の話をよく聞いてくれて、私が悪い事をした時も、どうしてそれが悪いのか、どこが間違っていたのか、とても丁寧に教えてくれて、怒られてるという感じがしませんでした。
でも、使用人のミラさんやマリアさん、ニャカさんはまぁ良いとして、ベルカーさんとメイベルさんは超怖かったです……。
ムーシルトに引っ越した後、確か1年くらい経ったころだったと思いますが、ムーシルトに学校というものが出来ました。
学校は、子供たちが将来独り立ちした後でも、困る事のないように、読み書きや計算の他にも、社会のルールや法律など、本当に色々な事を学べる場所で、お姉ちゃんが領主をしているムーシルトでは、子供が学校に通うのは義務としていました。
そのかわりではないのかもしれないけど、学校に通うのに必要な費用は全て領主であるお姉ちゃんが支払い、お昼ご飯もお弁当を持参するのではなく、お姉ちゃんが給食というシステムを考えだし、学校で準備して学校で食べさせていて、余った給食は、貧しい家の子は持ち帰ることも許していたので、親からも感謝されていたようでした。
ただ、子供ですら働き手としている家庭も多く、そのような家庭にはムーシルトの兵隊さんが支援するシステムまでをも、お姉ちゃんは考えだしてしまいました。
ムーシルトの街は他の地域に比べて隣が魔王領だったこともあり、兵隊さんの数も拠点の数も、他の街に比べるととても多かったようですが、お姉ちゃんが魔王を討伐して、そこにいた魔物もろとも、丸ごとダンジョンに押し込んでしまった後は、逆に兵隊さんの働き口がなくなってしまうかもしれないと噂が流れてましたが、お姉ちゃんはその辺もちゃんと考えていたようで、兵隊さんの中で希望を聞いて、それぞれ軍警察という組織に所属して、街の治安を守ったり、ミヤビという新しくできた街や、その隣に出来た遊園地の職員としての仕事、それこそ学校の教員や事務員などの仕事などなど、お姉ちゃん一人でどうやってこれだけの仕事の振り分けが出来るのか、不思議になるほどに、しっかりと対処できちゃっていたようです。
お姉ちゃんは、今まで通りの領主をただやるのではなく、色々と悪いことをしていた人を洗い出して、罰を与えたり、新しい仕組みや施設を考えたりと、普通に考えたらものすごく忙しい毎日を送っていたはずなのですが、意外と私達姉妹はほったらかしにされたという感情は抱いておらず、それこそピクニックに連れて行ってもらったり、遊園地に遊びに連れて行ってもらったりと、子供の頃から良い思い出で一杯なので、学校でも皆が羨むような境遇だったんじゃないかと思います。
ただ、私はもしお姉ちゃんがあの村を通らなかったら、お姉ちゃんが優しい人じゃなかったら、立場は逆だったかもしれないし、そもそもお姉ちゃんがいなければ、私はおそらくトーイ村で死んでいました。
私もシェラも、お姉ちゃんには、どうやってこの受けた恩を返せば良いのかわからないという話をしたことがありました。
その話を聞いたお姉ちゃんは、私達二人を抱きしめて言いました。
「そんな風に感じられる優しい子に育ってくれて、お姉ちゃんはとっても嬉しいけど、お姉ちゃんは、シェラとケイラのお姉ちゃんだから、二人を大切にするのは当たり前なの、もしそこに感謝の気持ちを持てるのなら、その恩返しをするべきなのはお姉ちゃんに対してじゃなくて。お姉ちゃんが二人のお姉ちゃんでいられるように、そして、この街の領主でいられるように、お姉ちゃんを支えてくれているこの街の全ての領民にこそ向けてほしい。そして、誰かを守ろうとした時、必要なのは、心と知恵と力なの。だから、二人とも良く学んで、よく鍛えて、今ある優しい気持ちを大切にしてね。」
私はお姉ちゃんの言葉を聞いて決めました。
将来大人になった時、お姉ちゃんを支えられるような、立派な大人になるんだと。
私は学校でも、他の子と比べて、力が強かったり、走るのが速かったり、学校の校舎の屋根に飛び乗れるほど高く飛べたりしたので、私が目指すべきは武術の何かなんだろうなと思っていました。
そのことをお姉ちゃんに話したら、とても褒めてくれましたが、武術の訓練をするなら、絶対に学校の友達としてはいけないと釘を刺されてしまいました。
その代わり、たまにお姉ちゃんが組手の相手をしてくれるようになったり、軍警察の訓練所に行って訓練をすることも許してもらいました。
ただ守られて、育まれて、もしかしたら、それでも良かったのかもしれないけど、私はそういう道を選ぼうとは思わなかった。
この頃から、私は大好きなお姉ちゃんの背中を追いかけようと、はっきりと、そう意識したんだと思う。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
感謝の言葉しかありません。
現在短編でスピンオフを展開しております。
この三部作の後は、最強セージの方から、メリルのスピンオフを予定しております。
よければ次のお話も読んでいただけるとありがたいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
このお話が面白いと思っていただけたなら、評価やコメントなどいただけるとありがたいです。




