◆スサノオ編~小さな賢者の指揮、動く巨体たちパート~
まさにそんな刹那の時だった。築城チームが議論を重ね、どうにも打開策が見つからずにいるその輪の中に、小さな影がするりと入ってきた。
「まず、絢爛だけどこじんまりとした仮の住まいを献上しましょう。」
声の主は、小柄なネズミの獣人だった。体躯の大きな獣人たちの中に埋もれてしまいそうなほど小さな存在だが、その眼には確かな光が宿っている。
当然、反論の声があがる。
「それでは獣王様は納得なされん。大きく立派な城でなければ。」
いつの間にか、「大きな」という言葉が条件に加わっているようだが、あながち間違いではないと、その場の誰もが感じていた。
ネズミの獣人は、冷静に、しかし確信に満ちた声で続けた。
「だからこそ、仮住まいなのです。その大きくて立派なお城をまともに築城していたら年単位ですよ。いくら大きく立派であっても、伽をそんなに待ってもらえますか? いいですか? 獣王様の要求は大別すると二つになりますね。」
ネズミの獣人は、爪で地面に二本の線を引きながら説明する。
「一つめ、**立派な城。**二つめ、**早急な伽の準備。**こう考えれば、まずは二つめを献上して時間を稼ぐことが可能になります。そして、ゆっくりと、立派なお城を作れば問題解決でしょう。」
「「「!!」」」
その場にいた誰もが、この小さき賢者の言葉に納得したのだった。彼らの曇った目に光が戻り、新たな活路を見出した。