表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三柱ゲーム  作者: さらん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/102

◆アマテラス編 ~敗北の帰路、絶望の作戦会議~

ただ無言で、城下町の宿屋への道を、とぼとぼと歩いている、エルフの後姿。

彼らの周りでは、活気のある街の喧騒が続いているものの、もはや、彼らの耳には届いていない。


彼らの心は、先ほど、あの玉座の間で味わった、絶対的な「恐怖」と「絶望」に、完全に支配されていたからだ。


宿屋の一室に戻り、重い扉を閉めた瞬間。

まるで、張り詰めていた糸が、ぷつりと切れたかのように、賢者リーフが、その場で呟く。


「…やられた。完全なる、敗北…」


その声は、もはや、賢者の威厳など、かけらも感じさせない。

ソラは、そんな彼に、声を掛ける。


「しっかりして、リーフ!まだ、終わったわけでは…!」

「…いや、ソラ。リーフの言う通りだ」


カイの声は、驚くほど、静かだった。

だが、その静けさこそが、彼の、深い、深い絶望を、物語っていた。


「我々は、完全に、負けたんだ。あの王に、チェスの盤上で、赤子の手をひねるように、弄ばれ、そして、完膚なきまでに、打ちのめされた」


彼は、窓の外に広がる、活気のある街並みを見つめた。

あの中に、あの「怪物」がいる。


自分たちの、全ての思考を、全ての策を、そして、全ての希望を、いとも容易く、踏み潰してみせた、恐るべき王が。


「でも、カイ…!私たちは、まだ、何も失ってはいないわ!命も、同胞も、そして、国も…!」

「そうだな。物理的には、何も失っていない。だが、我々は、それ以上に大切なものを、失ったんだ」


カイは、ゆっくりと、振り返った。

その顔には、悔しさでも、怒りでもない、ただ、空虚な、諦めの笑みが浮かんでいた。


カイ:「――我々は、このゲームの、『プレイヤー』でいることを、完全に、諦めさせられたんだよ」


その一言に、ソラも、リーフも、息を呑んだ。


そうだ。あの王がしたことは、暴力でも、脅迫でもない。

ただ、圧倒的なまでの、力の差、情報の差、そして、格の違いを見せつけた。

それだけで、彼らの心から、「戦う」という選択肢そのものを、静かに、そして、完璧に打ち砕いた。


「…もう、ロラン殿の策も、我々の誠意も、何もかもが、通用しない。我々にできることは、ただ一つ。あの王の、その掌の上で、彼が望む通りに、踊り続けることだけだ」


若きリーダーの、あまりにも早すぎる、そして、あまりにも完璧な、敗北宣言。


だが、ソラはそれでも彼らに励みを渡す。


「そうなのかもしれない…。全てカイの言う通りかも。でも、私たちは生きている。そして、エルフの民の、安寧すら、あの王は保証してくれた。それが、本音かは確かに断言できないわ。でも、この街の活気を見て!!」


確かに、ドワーフ王国のころよりも、国民の生活は活気に溢れ、顔は明るい。


「少なくとも、この国の民は幸せそうだわ。私たちエルフも、この幸せそうな民の仲間になれるのよ。私たちにとって、1番大切なことってなに?私たちが、プレイヤーで居続けること?

そうじゃないわよね。私たち、エルフが幸せになることでしょ?」


はっとする、カイとリーフ。


「だから、この選択は、間違いじゃない。間違ってなんていないのよ。私たちが、勝つとか負けるとか、そんなことは、どうでもいいのよ!!」


カイと、リーフの顔色が、変わる。とても明るく。

彼らは、絶望の中に残っていた、僅かな光を確かにその手に掴んだのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ