◆幕間 ~女神のほくそ笑み~
高天原の一室。
薄暗い部屋の中、月明かりだけを頼りに、ツクヨミは今日も今日とて、熱心にゲームに興じていた。
コントローラーを握るその顔は、真剣そのもの。
しかし、ふと、彼女は思い出したように、コントローラーを置いた。
「…そういえば、彼奴はどうしておるじゃろぅ」
彼女は、面倒くさそうに、部屋の隅にある水鏡を、ちらりと見やる。
そこには、謁見の間で、一人、不敵な笑みを浮かべている彼女のための王の姿が映し出されていた。
「…ほう。なんじゃ、存外、上手くやっておるではないか。つまらんのぅ」
彼女は、少しだけ、不満げに唇を尖らせた。
もっと、泣いたり、喚いたり、あるいは、自分に助けを求めてきたりする、面白いものが見られると思っていたのに。
「まあ、よい。この調子なら、アマテラス姉様やスサノオに、後れを取ることはあるまいよ」
彼女は、自分の「ガチャ運」の良さに、少しだけ満足する。
「やはり、われの目に狂いはなかった、ということじゃな。どうせ、姉様やスサノオには、こんなガチャなんて、思いもつくまい(くすくす)」
そう一人ごちると、彼女は、もう下界のことなど、すっかり忘れたかのように、再びゲームの世界へと没頭していく。
自分の気まぐれな「運試し」が、地上に、どれほどの混乱と、絶望と、そして、新たな「怪物」を生み出してしまったのか、など、知る由もなく、知る気もなく。
ただ、目の前のレベル上げに、勤しむのであった。




