◆アマテラス編 ~女神の暇つぶし~
――そして、さらに50年の歳月が流れる。
高天原の一室。
日の光を浴びながら、うたた寝をしていたアマテラスは、ふと、思い出したように、下界の様子を映し出す水鏡を覗き込んだ。
「あらあ、そういえばあの子たち、どうしてるかしらねぇ」
彼女の気まぐれな視線の先には、かつてカイとソラが降り立った地が映し出される。
そこに広がっていたのは、もはや「開拓村」とは呼べない、一つの立派な「街」だった。エルフの優雅な建築様式と、ドワーフの堅牢な石造りの技術が融合した、美しい街並み。その街で、エルフとドワーフが、ごく自然に肩を並べて歩いている。
「うんうん、平和が一番よねぇ。私のエルフたちのおかげで、ドワーフの国もなんだかピカピカしてて強そうだし。エルフの街も、ドワーフのせいで少しゴツゴツしちゃったけど、これはこれで面白いわね」
彼女は、満足げに微笑む。
自分の采配によって、二つの国が豊かになり、発展している。このゲーム、もはや自分の勝ちも同然だ、と。
アマテラス:「この調子なら、もう放っておいても大丈夫そうね♡」
彼女は、そう呟くと、にこりと笑って水鏡から視線を外した。
「さて、と。スサノオと、引きこもりのツクヨミちゃんはどうしてるのかしらねー。ちょっとだけ、覗いてみちゃお♫」
女神の興味は、すでに別の「おもちゃ」へと移っている。
だが、アマテラスは変化の兆しを見せつつある街並みに目を取られ、エルフの、その人口に変化がほぼない事に気づかない。
そう、エルフの長老だけが気づいている、長命種ゆえに、エルフの人口増加はアマテラスが思っているより遥かに緩やか事実に。




