◆スサノオ編~獣王ライ、最初の命令~
獣人たちから隠れてスサノオとの相談を終えた獣王ライは、獣人たちの元に戻ると、早速国民に命令を出し始めた。
「そこの者達、余の前までまいれ。」
オスの獣人が数人、ライの前にやって来て膝まづく。
「獣王様。なにか御用でしょうか?」
「その方らに余の城を任せる。」
「し、しかしその城はどこにございますか?」
獣人たちの問いに対し、ライは堂々と答えた。
「そのようなもの、その方らが進んで準備すべきであろう。」
獣人たちは一切の疑問を挟むことなく、力強く答えた。
「御意。我らに獣王様の城の築城をお任せ下さい。」
そう言って、築城を命じられた獣人たちは下がっていく。
次にライはメスの獣人数人にも命令を下した。
「その方らには、余の世話を任せる。城には手を出さずともよいから、余を快適にもてなせ。」
「御意に。」
メスたちの手際よい役割分担
メスの獣人たちの行動は早かった。そもそも、獣人の世界通りなのだから、迷いも一切ない。
「それじゃ、食事係と、衣装担当、掃除、はまだお部屋がないわね。それぞれ分担しませんこと?」
「そうですわね、ではわたくし達で餌を調達してきますわ。」
「ダメよ。獣王様の前で『餌』なんて言っては。ちゃんと『お食事』と言わないと、不敬になってしまうわよ?」
「あら、ありがとう。そうね、危ないところだったわ。気をつけなきゃね、みんな。」
「全くもう、気をつけてね。それじゃわたくし達は衣装を担当するわね。」
メスたちの役割分担は順調に決まっていく。獣王ライの生活は快適そうだ。
◆オスたち、築城を思案する
命令を受けたオスたちは、残りの獣人を全員集めた。彼らの顔には、新たな使命に対する真剣さと、わずかな戸惑いが入り混じっている。
「獣王様は、立派なお城での生活を求められている。従って、まずはお城を準備しなくてはならなくなった。」
呼び集められた獣人たちの一人が、戸惑いながら尋ねた。
「し、しかし獣王様は、どのような城を求められていたんだ?」
先ほど命令を受けたオスが答える。
「具体的なことは仰られていない。ただ任せるとのことだ。」
獣人たちの間に、沈黙が落ちる。具体的な指示がない中で、彼らはどのように「立派な城」を築くべきか、思案を巡らせているようだった。
◆獣王ライ、夜の困惑
ライは少し苛立っていた。夜の帳が下り、あたりは静寂に包まれる中、彼はそばに控える女官に尋ねた。
「そこの女官よ、余の伽の相手はいつからなのだ?」
最初は「メス」と呼んでいたライだったが、女官たちから窘められて、いつの間にか自然に「女官」と呼べるようになっていた。
女官は少し困ったように俯きがちに答える。
「獣王様、わたくしどもも獣王様の伽の相手をさせて頂きたいのでございます。しかし、このように夜空の下では、わたくしどもも、恥ずかしく……。ご察しくださいませ(よよよ)。」
彼女は完全に獣王の扱いを心得ていた。ライは女官の言葉に納得したように顎に手をあて、考え込む。
「確かにな。いつまでもこのように地面に寝ているようでは無理というものか。」
そこに居たのは、快適な王宮生活を渇望する獣王ライだった。