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三柱ゲーム  作者: さらん


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◆ツクヨミ編 ~新たなる局面、停滞の地上~

地上への帰還


「よし、行くぞ!次からは、俺がこの国を動かす番だ!!」


清々しい宣言とともに、「俺」はゴーレムたちと家臣団を率い、最後のゴーレムが破壊した壁の向こうに現れた通路を通り、地上へと続く階段を駆け上がった。

足取りは軽く、顔にはこれまでの疲弊とは異なる、新たな決意が満ちている。

太陽の光が差し込む地下への入口をくぐり抜けた瞬間、目に飛び込んできたのは、予想通り…いや、**予想以上に「何も変わっていない」**光景だった。


俺たちが地下ダンジョンに潜っていた間、地上ではまるで時間が止まったかのようだった。城の入り口は相変わらず静かで、庭には手入れされた形跡すらなく、雑草がわずかに伸び始めている。遠くに見える城下町も、煙が上がっている家はまばらで、人影もほとんど見当たらない。


「…おい」


俺は、隣に立つ家臣の一人に呆れたように声をかけた。


「俺たちが地下に潜っている間、お前たちは何をしていたんだ?」


家臣は、キョトンとした顔で首を傾げた。


「はっ!陛下がお戻りになるのを、ひたすらお待ちしておりました! ゴーレム探しという重大な任務の最中でございましたので、下手に動いてはご迷惑かと…!」


別の家臣も、真面目くさった顔で頷く。


「御意! 陛下のご指示もございませんでしたゆえ、我々としては、この場で待機することが最善と判断いたしました!」


俺は額に手を当てて天を仰いだ。

これほどまでに完璧な「何もしない」という指示の遵守、そして恐ろしいほどの自主性のなさ。ドワーフ王の悪趣味な罠を乗り越えて身につけた冷静さが、一瞬で吹き飛ぶほどの衝撃だった。


「……はぁ。まさか、ドワーフ王の罠より、お前たちの**「何もしない」が最大の試練**だったとはな…」


俺の視線は、何もない広大な庭、そして活気のない城下町へと向けられた。地下での戦いは終わった。

しかし、地上には、ドワーフ王のイタズラとは比べ物にならない、もっと根深い「国難」が待っていたのだ。ゴーレムを全て揃え、王としての覚悟を決めたはずの俺の前に、次の、そしてより現実的な問題が立ちはだかっていた。


地上での新たな戦略と家臣団の成長

俺は城門をくぐり、広々とした庭を見渡した。荒れ果てた芝生、手入れのされていない植木。そして、呆然と立ち尽くすばかりの地上にいた家臣たち。


「…さて、お前たち」


俺の声には、疲れ切った地下での日々とは異なる、怜悧な響きが混じっていた。


「地下ダンジョンを共に乗り越えたお前たちは、今日から**『地下攻略組』**と呼ぶ。そして、お前たちには新たな任務を与える」


「地下攻略組」と名付けられた家臣たちは、背筋を伸ばした。彼らは、王の隣で死線をくぐり抜け、ゴーレムたちの奇妙な起動儀式にも耐え抜いた、ある種の精鋭だ。

俺は、各ゴーレムの特性と、**『地下攻略組』**のそれぞれの家臣の適性を照らし合わせるように視線を巡らせた。


「ゴーレム一号、お前には斥候と警備の任務を与える。『地下攻略組』の最も機敏な者たち数名を配属する。彼らと共に城下町を巡回し、住民の状況、食料の流通、そして他国の動きまで、あらゆる情報を収集せよ。ゴーレムの探知能力と斥候としての家臣たちの動きは、この上なく重要なものとなる」


ゴーレム一号が機械的に頷く。指名された家臣たちは、喜び勇んでゴーレムの隣に立った。


「次に、ゴーレム二号には開墾と生産の指揮を任せる。『地下攻略組』の中から、体力に自信のある者たちをつけよう。ゴーレムの出力は、今まで手作業だったものを劇的に改善するはずだ。まずは荒れた農地の復旧と、食料生産の確保を最優先とせよ」


選ばれた家臣たちが、興奮した面持ちでゴーレム二号を見上げた。


「そして、ゴーレム三号には城の修復と、武具・道具の管理を任せる。『地下攻略組』の中から、手先の器用な者たちを配属する。この城は我らの拠点だ、まずは安全な場所を確保する」


俺は、そう言いながら、地下から出てきた全てのゴーレムと、共に困難を乗り越えた**『地下攻略組』**に的確な指示を振り分けた。彼の表情には、もはやドワーフ王に振り回されていた時の困惑はない。代わりに、王としての冷静な判断力と、実務能力が輝いていた。


「そして…」


俺は、地上に残っていた、どこか茫然とした様子の家臣たちに視線を向けた。


「『地下攻略組』の者たちは、それぞれが率いるゴーレムと共に、地上にいる者たちへの教育係も兼ねる。実践を通して、未熟な者たちにこの国の立て直し方を教え込むのだ。これは**OJTオン・ザ・ジョブ・トレーニング**という。怠けるなよ」


俺はニヤリと笑った。これで、自身の負担を減らしつつ、全体の底上げを図ることができる。まさに一石二鳥だ。


「はっ! 御意にございます、陛下!」


**『地下攻略組』**の家臣たちは、新たな役割に燃える目をしていた。彼らは、自分たちが王に認められ、そしてこの国の命運を握る重要な存在として扱われていることを、肌で感じていた。

こうして、俺の指揮のもと、新生した『地下攻略組』とゴーレムたちが動き出し、停滞していた国は、ようやく復興への第一歩を踏み出したのだった。

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