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◆スサノオ編~スサノオの愉悦~
その頃、高天原の一角。荒々しい波動を纏うスサノオは、ライの動向を興味深げに眺めていた。彼の目の前には、獣人族の城の様子が、まるで透き通る水面のように映し出されている。ライがズリからの報告を受け、真剣な表情を浮かべる様子が、スサノオの視界に飛び込んできた。
「よしよし…ようやく動き出したか、ライめ。」
スサノオは不敵な笑みを浮かべた。ライがすぐに動かないことに焦りを感じるどころか、彼はそれを「熟考」と捉え、自身の神託を真剣に受け止めている証拠だと解釈した。
「あの呑気な獣人が…、ようやく面白くなってきやがった。姉貴たちの国をどう動かすか…楽しみだぜ」
スサノオは、ライが「この世界を統べるため」と解釈した自身の神託が、本来「姉貴たちの国を頂く」という、より個人的で荒っぽい思惑から来ていることを悟られないよう、静かに、そして満足げにライの次の手を待っていた。
彼の顔には、この「頂上の勝負」が本格的に動き出したことへの、純粋な愉悦が浮かんでいた。




