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三柱ゲーム  作者: さらん


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40/102

◆アマテラス編~パートナーの条件~

議会が終わり、重鎮たちがそれぞれの持ち場へと戻っていく。カイとソラは、二人きりで議会場に残っていた。先ほどまでの喧騒が嘘のように、静かで厳かな空気が漂う。


カイは、これから始まる未知の旅路に思いを馳せ、意を決して隣に立つソラに向き直った。


「ソラ、君に頼みたいことがあるんだ」

「なあに?」


カイの真剣な表情に、ソラも静かに耳を傾ける。


「今回の使節団…俺が留守の間、君にこの村のすべてを託したい。リーダーが二人とも不在にするのは、リスク管理の観点から見ても得策じゃない。だから、君には残って、ここを守っていてほしいんだ」


これは、カイが熟考の末に出した、最も合理的で、誠実な結論だった。ソラの能力を信頼しているからこその、苦渋の選択だ。


ソラは、カイの言葉を黙って聞いていた。そして、深く、ゆっくりと頷く。


「…そうね。あなたの言う通りだわ、カイ」


カイは、ソラが理解してくれたことに安堵の表情を浮かべた。


「分かってくれるか、ソラ」

「ええ、よく分かった。リーダーが二人とも村を空けるべきじゃない。本当にその通りよ」


ソラはカイの目を真っ直ぐに見つめ、凛とした声で、はっきりと告げた。


「だから、決めたわ。ドワーフ王国への使節団は、私が率いていく」

「……はい?」


カイの口から、間抜けな声が漏れた。

ソラは、カイの反応など意に介さず、完璧な論理で続ける。


「危険な任務には、国の代表が行くべき。あなたはそう言ったわよね? 私も、あなたと共にこの国を治める代表の一人よ。だから私が行く。そして、もう一人の代表であるあなたは、ここに残って、この村を守るべきだわ。それが、一番合理的で、誠実な役割分担でしょ?」

「いや、ちょ、待ってくれソラ!?」


カイは完全にうろたえていた。自分が言った言葉、自分が立てた論理、その全てが、鏡のように自分に跳ね返ってきている。


「な、何言ってるんだ!行くのは俺だ!俺が言い出したことだぞ!」

「いいえ、言い出したことと、誰が適任かは別の話よ。私の方が、こういう交渉事は得意かもしれないじゃない」

「そんな問題じゃない!」


ソラの顔は、からかっているようでもあり、本気でもあるようで、カイには判断がつかない。ただ一つ分かるのは、彼女が絶対に引かないということだけだ。

カイは頭を抱えた。


「…分かった。分かったよ、ソラ」


数分間の言い合いの末、根負けしたのはカイだった。


「俺が悪かった。君を村に残そうだなんて、間違ってた」

「分かればいいのよ、分かれば」


ソラは、満足そうにフフンと微笑む。


「じゃあ、決まりね」とカイは言う。

「ああ、決まりだな」とソラも頷く。

「二人で、一緒に行く」

「ええ、二人で、一緒に行くのよ」


最初から、答えはそれ以外にありえなかった。

こうして、使節団の長はカイ、そして副長はソラという布陣が、二人の間だけで正式に決定した。

カイは、このパートナーには、もう一生かなわないかもしれないなと、嬉しいような、情けないような気持ちで天を仰ぐのだった。

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