◆スサノオ編 ~荒ぶる神と困惑の獣人王~
スサノオは焦っていた。
二人の姉たちはすでに最初の召喚者の餞別を終えて、ゲームをスタートしていると言うのに、自分はスタートしてから80年経った今でもまだ召喚者を選べていないのだ。
大体ゲーム自体得意でもないのに、ゲームの勝利条件がまた自分には向いていない。一番栄えさせた者が優勝、だと? どうやったら栄えさせることができるのか想像できないではないか。
俺様は姉貴たちと違って、頭を使うのは得意じゃないんだよ。ルールもこんなに沢山作りやがって。読むだけで頭が痛くなるっつーの。
ん?
へー、姉貴たちの陣地を攻めてもいいわけか(にやり)
それなら、姉貴たちが栄えさせたとこを頂いちまえば勝ちってことだよな。なんだ、簡単だな、こりゃ(笑)
それならやっぱり強いやつだ。強い種族と言えば、「獣人」だよな。さてと、どいつにしようかな? 家族持ちは可哀想だしなぁ。彼女いるやつも可哀想か。だとすると、独り身のヤツから選ぶしかねーかな。それで、候補はっと……。
次の瞬間、スサノオの目の前に、一人の獣人が膝まづいている。全身を覆う筋肉質な体、たくましい四肢、そして鋭い眼光を放つその顔は、まさしく百獣の王ライオン。
「スサノオ様、ライオンの獣人、ライ、ここに馳せ参じました。」
「おお、ライよ。良く来てくれた。ちょいと、俺様を助けてくれねーかな。」
「はっ、なんなりとお申し付けください。」
「んじゃ、1つ国を任せるからとりあえず適当に治めといてくれや。」
「はっ。……は?」
お互いの顔を見つめる二人。
色々聞きたいが、恐れ多くて聞けないライは、脂汗が滝になっている。そんなライの戸惑いを辛うじて察することができたスサノオからの説明が始まった。
「いやな、今姉貴たちと勝負してんだわ。その勝負っていうのがよう、とにかく国を栄えさせるってことらしいんだわ。」
「恐れながら、私は統治などは不得手でありますれば……。」
「あー、いいんだよ。本当に栄えさせなくても、ほどほどに潰れねー程度にしてくれればよ。」
「そ、それはどういうことでありましょうや。」
「姉貴たちが栄えさせた国を頂いちまえば勝ちらしいからよ。姉貴たちの国が栄えるのを待って、頂いちまおうって訳だ。」
「なるほど、それなら私にもなんとかなりそうでございまするな。」
「そうだろ? だから、その時までなんとか持ちこたえてくれや。」
「御意」