表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三柱ゲーム  作者: さらん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/102

◆ツクヨミ編~ゴーレム1体目獲得~

「…もうやめろ。見苦しい。」


俺が家臣の浅はかな王様ごっこを止めさせ、ゴーレムと対峙する。

真の王の証明とは、一体なんなのか。俺が答えを見つけられずに固まっていると、家臣たちも固唾をのんで俺を見守っている。

その、静寂を破ったのは、唐突な金属音だった。

カシャーン!ゴツンッ!


「…いっ…た…?」


何の前触れもなく、天井から見事な放物線を描いて落下してきたのは、なぜかピカピカに磨かれた金のタライだった。そしてそれは、寸分の狂いもなく俺の頭頂部に直撃した。

家臣たちが「あ」と間抜けな声を上げる。

その衝撃が引き金だった。

脳内に、今まで靄がかかっていた記憶が一気に流れ込んでくる。

そうだ、俺は酢を飲まされ、パンチで殴られ、二度もドワーフ王の「記憶」と出会っていた。そして、アイツは言っていた。ゴーレムを起動するための、あまりにも屈辱的な合言葉を…!


『合言葉は**《私の可愛いゴーレム愛してる》**だ。』


そうだ、これだ!

そして、ゴーレムは一体だけじゃないという話も…!

俺は全ての記憶を取り戻した。頭に受けた衝撃と、思い出した合言葉の精神的衝撃で、視界がクラクラする。


「へ、陛下!お気を確かに!」

「金のタライが…!見事な軌道でしたな!」

「誰の仕業だ!」


家臣たちが騒いでいるが、もうどうでもいい。

俺はふらつきながら立ち上がり、目の前のゴーレムを、そして思い出した合言葉を交互に思い浮かべ、天を仰いだ。


…これを、言うのか。


王としての威厳を取り戻すための旅路で、一番最初にやらなければならないことが、これなのか。

俺は家臣たちの方を見た。彼らは心配そうな顔で俺を見ている。

ここでやらなければ、何も始まらない。

俺は覚悟を決めた。


「……ッ!」


涙を堪え、羞恥で赤くなる顔を隠すように俯き、そして、震える声で叫んだ。


「わ、私の……可愛いゴーレム……愛してるッ!!」


シーン、と静まり返る王の間。

家臣たちの「えっ…?」という困惑した視線が突き刺さる。


すると、今まで沈黙していたゴーレムの目が、カッと強い光を放った。

そして、その合成音声のような声が、部屋全体に響き渡る。


『第一認証、完了。我が主の命令に従います』

『継続して、第二ゴーレム認証の為の合言葉を開示します』


え、ここで言うの?

俺が青ざめるのを無視して、ゴーレムは淡々と続けた。


『《あなたなしでは生きられない、私の素敵なゴーレム様》…以上です』


家臣たちが、息を呑むのが分かった。

そして、次の瞬間には、必死に笑いを堪えて互いの顔を見合わせている。次のゴーレムを見つけた時、俺が何をさせられるのかを完全に理解した顔だ。

俺の尊厳が完全に地に落ちたその時、ゴーレムはゆっくりと部屋の壁に向き直った。そして、その巨大な拳を振りかぶり、


ドッゴォォォォン!!!


轟音と共に壁を粉砕し、その向こうに新たな暗い通路を作り出した。


…手に入れた。一体目のゴーレムを。


その代償は、あまりにも大きかった。

俺は、新しくできた通路と、その横で命令を待つゴーレム、そして肩を震わせる家臣たちを前に、ただ立ち尽くすことしかできなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ