◆ツクヨミ編~真の王の証明とは~
「…は?」
一瞬、思考が停止した。
今、こいつは何と言った?
俺の、あの、ミートパイを食べ損ねたことで奇妙な連帯感まで覚えていたはずの家臣が、何を言った?
「き、貴様ァァァ!王はこの俺だぞ!何を勝手なことを言っている!」
俺が怒鳴りつけると、家臣はビクッと肩を震わせ、しかし妙に真剣な顔で振り返った。
「しかし陛下!先ほどの『残念賞のヒント』を見つけたのは、この私でございます!これはつまり、天が私を真の王として選んだという啓示なのでは…!」
「そんなわけがあるかァァァ!」
なんとポジティブな勘違い!残念賞だぞ、あれは!
俺が頭を抱えて崩れ落ちそうになった、その時。
人形…いや、ゴーレムが再び口を開いた。その視線は、まっすぐに名乗り出た家臣に向けられている。
「挑戦者よ。王の証を我に示せ。」
「ちょ、挑戦者…」
ゴーレムまで家臣をチャレンジャー扱いし始めた。もうめちゃくちゃだ。
一方、名乗り出てしまった家臣は、後には引けないとみえる。
「う、うむ!よかろう!」
彼は咳払いを一つすると、王らしく見せようと精一杯胸を張った。
「真の王たる我の前にいるのだ!ゴーレムよ、まずはお前がひざまずくのが礼儀であろう!」
家臣がビシッとゴーレムを指差す。
頼むからやめてくれ。
俺の心の叫びも虚しく、ゴーレムは機械的に、そして冷徹に答えた。
「それは王の行動ではありません。やり直しを要求します。」
ピシャリと、実に事務的にダメ出しをされた家臣がうろたえる。
「なっ…、では、く、苦しゅうない!褒美つかわすぞ!」
「褒美の内容を提示してください。」
「えっ…。そ、そうだ!私の家臣にしてやろう!」
「私はすでに王に仕える身。その提案は無意味です。」
ああ、もう見ていられない。
家臣の浅はかな王様ムーブが、ことごとくゴーレムによって論破されていく。
俺はもう怒りを通り越して、なんだか悲しくなってきた。




