◆ツクヨミ編~普通の部屋の謎~
階段を折り切ると普通に部屋に出た。
今度は扉はなく、そのまま侵入する。
特に仕掛けはないが、ヒントもない。
念の為、家臣たちに部屋の捜索を命じる。
「この部屋にもなにかあるはずだ。念入りに探せ。」
家臣たちが四方に散らばり、それぞれ調査を開始する。
「陛下、ここの壁にボタンらしきものがあります。」
「陛下、こちらにもありました。」
家臣たちによって、押しボタンが3つ発見された。
◆ツクヨミ編~ボタンを押したら幸せ~
俺の目の前に、3人の家臣がそれぞれボタンの前に立っている。
ふむ、3つのボタンか。こういうのは大抵、同時に押すか、あるいは特定の順番で押すのが定石だ。
「よし、俺が合図をする。3人で同時にボタンを押すのだ。いいな?」
ここで見事に仕掛けを解き、威厳を取り戻さねば。さっきの紅茶の恨み、ここで晴らさせてもらう。
俺は3人の家臣がボタンに手をかけたのを確認し、大きく息を吸い込んだ。
「押せ!」
俺の号令と共に、家臣たちが力強くボタンを押し込む。
ゴゴゴゴゴ……と、部屋の奥の壁が静かにスライドし始めた。隠し通路だ。
「おおっ!」
と家臣たちが歓声を上げる。
よし、うまくいった!これでこそ王たる俺の判断力よ。
と、思った瞬間。
ポンッ!ポンッ!と軽快な音が2つ鳴り、ボタンを押した家臣のうち2人の頭上から、紙吹雪と共に垂れ幕が下がってきた。
【大当たり!】
そして、残る1人の頭上にも、やや気の抜けた音と共に垂れ幕が下がる。
【残念!】
「な、なんだこれは?」
俺が呆気に取られていると、大当たりした2人の家臣の前に、先ほどのティーカップと同じように、今度は湯気の立つミートパイが乗った皿がスッと現れた。
『頑張るあなたにご褒美を』
そんな声がどこからか聞こえる。
大当たりした2人は大喜びでミートパイに食らいついている。
「うまい!うますぎますぞ、陛下!」
「え、あ、ああ、そうか……」
俺は恐る恐る、残念だった家臣のほうを見た。彼はションボリと垂れ幕を見上げている。
よかった。仲間がいて。
俺は彼に近づき、そっと肩を叩いた。
「気にするな。俺なんかお茶も飲めていない。お前はまだマシだ。」
「はっ、ありがたきお言葉……。ですが陛下、何かあちらに」
家臣が指差す方向を見ると、残念パネルの根本に小さな文字が書いてある。
『残念賞:この部屋の謎のヒント』
なんと!
これこそ一番の大当たりではないか!
俺たちは壁に書かれたヒントを食い入るように読んだ。
「ゴーレムは王の間にあり。ただし、真の王の帰還を待っている」
「真の王……?」
どういうことだ。王である俺はここにいるというのに。
家臣たちも首を傾げている。
ともかく、これでゴーレm……いや、ご褒美の恨みは忘れよう。今は謎解きが先決だ。




