◆アマテラス編~カイとソラの決意~
一方、アマテラスの言葉通り、カイとソラは、見慣れない緑豊かな大地に立っていた。周囲には、見たこともない植物が生い茂り、遠くには奇妙な鳴き声が聞こえる。彼らが立っている場所こそが、アマテラスが与えた「国」なのだろう。
不安げな表情で、ソラがカイに問いかけた。
「これからどうする?カイ」
カイは、周囲を見渡しながら、少し困ったように答えた。
「どうするものにも……。でも、あの女神様の、私たちへの期待に満ちた目が眩しすぎるんだけど」
ソラも、カイの言葉に共感するように頷いた。
「そうよね。でも、このまま途方に暮れているわけにもいかないわ。」
カイは、何かを思いついたように、手をポンと叩いた。
「そうだ。女神様は『エルフのやり方でいい』ということを言っていたのかもしれない。僕らの村みたいなのを作っていってみようよ。」
ソラは、カイの提案に目を輝かせた。
「そうね!それが一番私たちにできることだわ。」
二人は顔を見合わせ、互いに頷き合った。見知らぬ世界で、頼れるのはお互いだけ。故郷の村を思い出しながら、彼らは自分たちの新たな生活を、自分たちの手で築き上げていくことを決意したのだった。
◆平穏な村の発展
カイとソラを中心としたエルフたちの村の開発は、驚くほど順調に進んだ。彼らは、故郷の知識と知恵を活かし、巨大な木々の中に快適な住居を作り、それぞれの家とした。
カイとソラは、見知らぬ土地での心細さから、自然と寄り添うように同じ家に住むようになった。共に朝を迎え、共に夜を過ごす日々は、二人の絆をより一層深めていった。
食料にも困ることはなかった。アマテラスの計らいか、この地には食用に適した植物が豊富に自生しており、狩猟によっても十分な食料を得ることができた。住み始めてみれば、故郷とは違うながらも、特に不自由なことは何もなかった。まさに、アマテラスが言った通り、「普通に治めればよい」ということなのだろう。
何事もなく、穏やかな時が流れ、30年の歳月が過ぎた。カイとソラは、すっかりこの地での生活に馴染み、村は静かで平和な雰囲気に包まれていた。




