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三柱ゲーム  作者: さらん
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◆ツクヨミ編~強制召喚、そして女神との遭遇~

突如として、俺は自分が明るい夜空に浮かんでいることに気づいた。困惑しながらあたりを見渡すが、漆黒の空が広がるばかりだ。


「いつの間にこんな所にきたんだっけ……」


そんな俺の頭に、何かが唐突に衝突した。


「いたっ!!」

『ようこそ人間。お主は神のゲームのプレイヤーに選ばれたのじゃ。光栄に思うがいい』


どこからともなく飛んできた文字に、俺は苛立ちを覚えた。


「いや、神とか知らんし!!」。


すると、また頭に文字が飛んでくる。


『どうした、人間。なにを睨んでおる。われは女神つくよみぞ。頭を垂れよ』。


(また文字が……、てもういいや)


「まずは姿現せよ!!」


(こんなんで、敬えるか?普通)


『嫌じゃ。なぜ高貴な女神たるつくよみ様が下賎なものの前に姿を現す必要があるのじゃ』


(こいつ文字でしかコミュできんのかよ、めんどくせぇな)


「じゃ、気が向いたら姿見せろよな。んで、誰だって?」

『だから女神だとゆーておろぉが!!人の話を聞かんのかい、おのれは!!』

「あー、女神? そーいやそんなこと言ってたっけ? て、いや全部文字だから言ってないやろ(笑)」

『ぐぬぬ、いちいち揚げ足を取りおって。非礼なヤツめ』


飛んでくる文字を躱しながら、俺は心の中でニヤリと笑う。「カッケー」。直後、「ガーン!!」という音と共に、特大の文字が俺めがけて飛んできた。


「いてーだろが、コノヤロー!!」。

『ほーっほっほっ、ざまぁじゃ(笑)』。


今度はさらに変化球まで飛んでくる。


「今度は変化球かよ(怒り)」。


(くっそー、ホントめんどくせぇなこいつ。ホントに神かよ。絶対自称だろ。しかもこの引きこもり感。ヤレヤレだぜ、まったく)


「んで、そのなんとかさまとやらが俺になんの用なんですかい?」

『女神じゃ!!女神つくよみ様じゃ』

『こほん、用というのは他でもない。そちにとある国を任せてやろうという話じゃ。光栄に思うがいい(2回目だぞ)。そちも一国の王となることが叶うのじゃぞ』

「ん? ツクヨミって、確か男神だったはずじゃ」

『だれが男神などと決めつけおったのじゃ。人間風情が神の性別を憶測で決めつけるなど腹立たしい』

『しかも今頃そこに気づくとはなんとも間抜けな人間よな。そこが知れるというものじゃ(笑)』

『さて、馬鹿の相手は疲れるがの。なかなか話が進まぬ。そろそろ本題に入らせよ、人間』

「全く、天照大神様くらい表に出てきてれば間違われなかったろうに……。」

『なんぞゆーたか?(ギロリ)』

「じゃ、じゃあその呼ばれたわけを聞いてやるから早く話せよ」

『もそっと敬わんかい』

『人間、そちにはこれからある国に行ってもらう。その世界には3つの国があるのじゃが、その内の1つということになるのじゃ。3つの国が権勢を振るっておる』

「その国はもう存在してるんだろ?なら、俺が行く必要なんてねーだろ。何しに行くんだ?」

『なに、先代の王がこの前老衰での。次の王を準備せねばならなくなったのじゃ』

「は?次の王って、世継ぎとかいんじゃねーのかよ」

『それがこの世界のルールなのじゃ。王が死んだ時のみ、次の王を召喚できるのじゃ』


(おいおい、俺絶対騙されてるよな。ヤバいにおいしかしないんだが……。どうやって逃げ出そう……)


「あ、えーと、ちょっと用を思い出したから帰らせてもらうわ(笑)」

……

(あれ?反応なし?)

「えーと、それじゃ本当に帰りますね……」

……

(反応なしってことは、OKってことでいいんだよな。よし、逃げよっ)

「じゃ、そういうことでさいならー!!」


俺は、逃げ出すことにした、のだが……。

この夜空を気持ちよく飛んで逃げる俺。なんて気持ちいいのだろう。しかし……どこまで飛んでも景色が変わらない。


「てか、ここどこなの?」


(くすくす、焦っておるわ、焦っておるわ。もう少し焦らせてやろうかの、くすくす)


ふと、立ち止まって考えてみることにした。そもそもここは何処なのかと。よくよく考えてみれば、夜空に浮かんでるっておかしくない?俺、何時から飛べるようになった?

てことは、これはあれだ!!鉄板の『夢オチ』ってやつだっ!!なら、目覚めればOKだっ!!


(やはり夢オチに落ち着いたかの。そろそろ現実に引き戻してやるとするかの)


『気は済んだかの。夢から覚めたければ覚めてもよいぞ。できるならの(笑)』


(くっそー、夢オチで逃げることもできんのか)


「へーへー、夢オチなんて考えてませんでしたけど? それより、続きを早くして欲しいんですけど?」

『ほほほ、まあよい(笑)』

『では続けるぞよ』

『で、どこまで話したのかの?』

「お前が最初に神々のゲームって言ったんじゃねーかっ!!」

『おーほっほっ、そんなこともあったかのぅ』

『まあよい』

「よくねーよ」

「確か、先代が亡くならないと次の王が召喚できないんだろ?」

『おお、そうじゃった』

『そういう訳でな、王は世継ぎを残さぬのじゃ。神が次の王を召喚するのじゃ。だから、次はそちが治めるのじゃ』

「なんで次が俺なんだよ」

『適当じゃ。そちの世界でいうならガチャじゃの。』

「ガチャかよっ!!」

『われは、下賎の個になど興味ないからの。誰でもよかったのじゃ』

「誰でもよかったんだろ? なら、拒否するっ!! 勝手にリセマラしてな」

『ほほほ、そのような面倒臭い、ゲフンゲフン。そのようなズルはできないのじゃ。これは神々の高貴なるルールなのじゃ』


(ち、完全に退路を絶たれたか、しかも本音が漏れまくってるぞ)


「それで、他の国を治めているのは、どんな奴らなんだ? 知ってるんだろ?」

『知らぬ。興味ないのでな』

「は? 何言ってんの? それで、どうやって勝つの?」

『ほう、よく勝負だと分かったの』

「さっき、ゲームとかほざいてたよなっ!!」

『そうだったの、下賎の者へなにを伝えたかなど、ついぞ覚えておらぬのでな』

「なら、いまその国はどーなってんだ? さぞかし、他国より栄えてんだろうな」

……

「おい、それくらい答えろよ」

……

『先代の王はドワーフでの』

「おい、ちょっと待て。人間じゃねーのか?」

『いつ先代が人間だというたかの?われは一言も言っておらぬはずじゃがの』

「いや、確かに言われてねーけど、人間以外がいるなんて聞いてないぞ」

『そのような些事で心乱すでないぞ人間』

「些事じゃねーだろ、重大事だ。それじゃ、これから行く国にもそんな住人が居るのか?」

『お主の国の住人はお主と同じ人間だけじゃ。王が代替わりすると住人も王と同じ種族になるのじゃ』

『お主のせいで話が進まんのう。困ったやつじゃ。なぜこのような者が召喚されてしまったのかのう』

「それは俺のセリフなんだよ。お前が適当すぎんのが一番ダメなんじゃねーか」

『しかも、神に向かってお前とはなんとも不敬なことよの』


(イライラ、こいつ絶対に自称の神だよな。こんな適当なヤツが神とか世界が滅んどるわ)


『さて、納得したかの。それでは……』

「いや待て。先代がドワーフでその続きは何言おうとしてたんだよ」

『話はおわってなかったかの?』

「終わってねーよ!!」

『おかしいのぉ』

「天然か!!」

『仕方がないのう』

『ではの続きを聞かせてやろうかの。先代には優秀なドワーフの職人を据えたのじゃ』

「まて、先代はちゃんと選んだのか?」

『当然であろう?これはゲームという名の勝負なのじゃ。勝たねばならぬ』

「ならなんで俺は適当なんだよ。」

『飽きたのじゃ』

「は?……あき、た?」

『そうじゃ、人選というてどれだけ候補がいると思うておるのじゃ。星の数より多いのじゃぞ。そんなのいちいち選んでいられると思うのかえ?』

「そういうのはさー、もう少しオブラートに包むもんじゃねーのかよ」

『われがそちに気を使う必要もあるまい』

「も、いいや_| ̄|○ il||li」


「で、その先代のドワーフさんがどうした?」

『うむ、国民全員を巻き込んで鍛冶に集中しまくっての。何しろ全国民がドワーフじゃからの、諌めるものもおらなんだのじゃ。』


『結局、城壁やら武具やら農具なぞは充実したのじゃが、それを活用出来るものがおらなんだのじゃ』

「…」

『そこでわれは考えたのじゃ』

『これらの道具を使いこなせる種族を呼ぶための布石であったのだと』

「それは単に結果オーライだろ」

『なにをほざいておる』

『その優秀な道具を使って国を統治できるチャンスを与えてやるのだぞ』

『ここはわれに感謝して頭を垂れるところぞよ』


(ということは、それらの道具を使って五穀豊穣と憲兵、それに諜報活動もか。やること多すぎだな)


「それで、住人だか国民はどのくらい居るんだ?」

『それはのう、この前われの眷属が調べてきておったな』

『どれどれ、ふむ意外と残っておるぞ』

「だから人数を言えよ、人数を」

『ざっと、3000人というところかの』

「え……?」

『最初は1万人だったからのう。あのドワーフの王までで3000人も残っておるとはなかなかであろう?』

「ムリだ!!」

『おお、他にもエルフが2000人ほどおるようじゃ。よかったの』

……

「やる前から負けが決まってる!!」

……

「無理ゲーだぁーっ!!」

……

「では、おつかれっしたーっ(ぺこり)」


(最初に感じたヤバいにおいは完全に気のせいではなかった。なんだよ、この無理ゲーに付き合わされる不運は。神なんて本当に居るのか?)

(あ、ここに召喚しやがったのが神だとか言ってたな)


『ほほほ、この程度の逆境でそのように醜態を晒すとはのう(笑)。やはりそちも大したものではなかったということよな。』

『この状況から勝ちに持っていくことこそ、真の英雄。真のゲーマー』

「お前、そうやって自分の失態をなかったことにするつもりだろう」

『そちを選んだ本当の理由にまだ気付かぬのか。この逆境に打ち勝てるのはそちのみ。ゆえにそちを選んだのじゃ』

「さっきガチャだって思い切りほざいてたよな!!」


(こいつ、絶対に適当なこと言って言いくるめようとしてるな)

(しかし、もうここまで来させられてもとにも戻れねえ)

(やるしかないのか_| ̄|○ il||li)

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