◆アマテラス編~突撃のソラ~
「『そんなのダメよっ!!』」
静寂を切り裂くように、力強い声が長老の家に響き渡った。
そして、次の瞬間、戸が開け放たれ、一人のエルフの少女が室内に飛び込んできた。
その少女は、カイに向かって一直線に駆け寄り、彼の体に勢いよく抱きついた。それは、カイの幼馴染、ソラだった。
「め、女神様だかだれだか知らないけど、カイを勝手にどこかに連れてくなんて許さないわっ!!」
ソラの小さな体は震えているが、その瞳には強い決意の色が宿っている。彼女は、大切な幼馴染を理不尽な運命から守ろうと、全身で抵抗していた。
「ソラ……」
カイは、突然のソラの行動に驚きつつも、彼女の強い想いに胸が熱くなった。彼の目に、熱いものが滲み出す。故郷を離れることへの不安と、ソラの温かい愛情が、彼の心の中で複雑に絡み合っていた。
アマテラスは、ソラの突然の登場にも全く動じることなく、にこやかに微笑んだ。
「あらぁ、やっと入ってきたのね♩最初から覗いてたものねぇ♩あなた、この子の幼なじみってとこかしらぁ?」
ソラは、アマテラスの言葉に一瞬たじろいだが、すぐに気を取り直して睨みつけた。
「そうよ。カイだけどこかに連れていこうなんて、許さないんだからっ!!」
アマテラスは、楽しそうに目を細めた。
「そう言うと思ってたのよねぇ。それならぁ、あなたも一緒に来ればいいじゃない♡」
ソラは、予想外の誘いに言葉を失った。カイだけを連れて行かせないためには、それも一つの手かもしれない。
しかし、長老はアマテラスの言葉に眉をひそめた。
「女神様、それはルール違反ではないのですか?」
アマテラスは、指を一本立てて、可愛らしく首を傾げた。
「んー、でもねぇ、次の召喚は王が亡くなった時ってなってるけど、1度に1人とかルールに書いてなかったわよね?」
長老は、苦笑いを浮かべながら答えた。
「ルールはあなたが考えたんでしたな、確か。」
アマテラスは、自信満々に胸を張った。
「そうよぉ、だから書いてないルールなんて、存在しないルールなのよ。守る守らない以前の話だわ♡」




