戦況が変化して来た
閲呉は小さく頷きながらも、抜燐を加えた、ここには安良、衛琉も居る。閲呉、燕尾、気藍、備前の8名で赤魔洞の一つの洞で車座になり、会話が始まった。
閲呉が言う。抜燐の眼は厳しいままであった。
「まず、魔人達の事は今までの話で何となく分かった。まず薬湯と、何種かの混合物によって草食系の生体が肉食系の生体に変化すると言う事だった。間違いないっすか?」
「申した通りである」
「では、聞いていない事があった。その話如何によっては、また今までの部署に戻って貰っても良いと思っている」
「何?陣幕に入れと言いながら、我に試すような事を言うのか?」
抜燐の眼がきらっと光った。
閲呉は、また小さく頷きながら、
「これを見て欲しい、巍然族の上級レベルの者が使用していた武具っすけど、なかなかのもので、危うくこちらも殺られる所だった。おい、安良、お前には見覚えがあるよな?」
「おう・・そう言えば、俺が倒した赤魔人はこのような武具を使っていた」
抜燐の顔色が変わったのはその時だった。
「俺も最近聞いてね、この事が不思議なんすよ。我々の上原族にこんな武具を使う者は一人も居ない。この赤魔人と巍然族は、なかなかの強者だった。巍然族も観察して来たが、この武具を使うものは殆ど居なかったんすよ。あ・・と、言っても俺は一部しか見てないので、言い切る事は出来ないが。で?抜燐殿、どう思われるっすか?赤魔人、緑魔人、白魔人には確かに武具らしき物はあったが、良く考えると、こちらの仲間を殺し、それを奪った物を使用していた節がある。つまり、魔人達には武具を生み出す能力は無かったんすよね」
「上原族の誰かがその武具を持っていたと言う事だろう」
「あは・・そうでしょうね、それは勿論そうなる。誰でも思うっすよ。安良、お前の戦った赤魔人とこの武具はどうだ?」
「かなり前の事で、そんな物を気にもしていなかったが、うん・・同じ物に見えてしまうわなあ」
「同じ・・そこっすわ、抜燐殿」