戦況が変化して来た
備前が言うと、気藍も頷きながらも
「その中でも無駄な血は出来るだけ流さないようにしないと。平穏な生活が一番ですから」
「そうですね、自身が生・・その生の限り閲呉大将のその思いは、きっと殺戮では無い事を願っております」
「・・・・」
気藍には答えようも無かった。戦争とは、殺し合う事では無いのかと思うからだ。そして殺さねば、こちらが殺される。滅ぼされるのである。故に、今戦いと言うものに対し、知恵を絞っているのであろうと・・。
備前には彼なりの思いもあろうと、気藍は燕尾の所へ
閲呉はなかなか戻って来なかった。御大将自らこう言う率先して飛翔テストをすると言うその姿勢には、備前も少し驚きを隠せなかった。率先してやると言う事だ。その姿勢には、俺について来いと言うものでは無く、誰かに押し付けるものでも無かった。自分がやらねばと言う責任感を持ち、耳洞族を守って来たと言う自負があった備前には、それがとても新鮮な行為に見えたのだった。こうして、人間的魅力が恐らく閲呉にはあるのだろう。一人、二人とその周囲を固めて行き。武力、腕力一辺倒だった武将達も感化されて次第にその閲呉イズムに染まって行くような・・そんな気がするのであった。
閲呉は見た。やはり巍然族は殺気立った眼を一様にしていて、巨大な魔物の背に乗っていた。走力が無い事は分かっていたが、今度の魔物もサイ風の硬い皮膚をしていて、頭に巨大な角が生えていた。現代のサイと思えば同様の魔物だが、これは容易に倒せる相手では無さそうだ。閲呉はその時かなり上空を飛んでいたので、巍然族が気がつき飛矢らしきものに攻撃を受けたが、それが届く事は無く。持っていた量産していて準備が出来ている石爆弾を2つ投下すると、2体の魔物はどうやら倒れたようだ。効果は確認出来たが、氷山の一角に小さな石を投じた程度の事であった。これで進撃を食い止める事等は無理だとも感じて、戻って来たのであった。
閲呉が戻って来た。その内の巍然族の1体を綱で縛って自分の体の倍ほどもあるのだが、ぶら下げていたのだ。
「こんなにでかい巍然族を?どうやって・・」
衛琉が丁度来ていた。衛琉は前にも紹介したが女性武将である。美形武将安良の今は妻ともなっているが、閲呉の剛力には驚かされる事ばかりだった。




