戦況が変化して来た
「動きがあります。再び巍然族が終結し始めているようです」
「来たか・・食い物が噴火の影響で相当枯渇気味なのは想定の事だ」
「飛鳥・と言うか魔鳥が激減している様子ですね」
「さもあらん、あの噴石で逃げ場も無かっただろう。しかし、飛虫がまだ相当数健在なのとは皮肉なものだな。あ・・魔物なのか、こいつも」
閲呉と陣幕である4人の会話であるが、備前は、
「いえ、飛虫は魔虫の影響は受けていないと思います。生水を飲まないので」
「ふうん・・この平原では数少ない魔虫の影響を受けていない生体なのか・・」
閲呉は顎を擦った。何か、考えが閃いたのであろうか。備前は閲呉の類稀なる発想力には感服している。見回しても、これだけ瞬間的に頭が回る人物は他には居ないからだ。
ところが、少し考えた後、閲呉は又途方もない発言をするのである。
気藍がびっくりした顔になっている。巍然族の皮の残量を聞いたのだ。
「え!巍然族の皮は、まだ50枚程は残っているけど?」
「うん、ずっと考えていたんだけどな?今は手鳥の羽毛を塗って飛翔隊の翼にしている。軽いし、飛翔力も増している。それに代わる素材として、一つ巍然族の皮で翼を作ってくれないかな。手先は耳洞族の中に器用な者が何名も居る。それが出来たら試して見たいんだよな」
備前が、
「確かに軽いし、硬い皮なので、工夫すれば何とか出来るかも知れませんね」
「おう、そう言うのは気藍が得意だろうと思ってな」
「何とか・・考えて見ましょう」
「うん、頼んだ、すぐにでも着手してくれ」
「俺達は・・さて・・燕尾、備前、この櫓から数トイ周辺の地図を作って見た。白魔洞の石を薄く削ったものに、俺がその図を描いてみた。見てくれ」
「ほう・・何時の間に」
「いや、描くのは何時でも可能だ。今からでも最新の情報は書き足せる。この巍然族が集結しようとしているのは、この辺だと思うんだ。2ヵ所ある。奴らが相当数兵力を失ったとは言え、まだ数千の勢力は軽く居るだろう。この巍然族に1対1で戦える武将が何人居ると思う?それに奴らは1対1の戦いなんぞしねえもんな、寄ってたかってその相手に集中する。だから、とても勝ち目なんて無い」
「・・その通りでしょうね」




