敵襲!
「上原族の豪将である室蘭殿とは何度も遭遇しましたよね。白魔、赤魔達を何度も一刀両断で倒しておりましたので」
「ふふ・・遠眼鏡と言うのを創っているのだろう?」
「え!」
驚いたのが気藍であった。まさしく構造的には自分が抜燐師を真似て創ったのが、微細なものを見る顕微鏡と言うもので、それを大きくしたものが逆に遠くを見る遠眼鏡と言うものだ。つまり望遠鏡であり、常に山腹からこちらの様子を観察していたのであろう。勿論巍然族の動きもである。故に事前の対処や、長年峻険な地形もあっただろうが、生活に不便な山中で生き延びて来られたのであろう。備前は元々原型は、耳洞族の先祖が持っており、それを抜燐師が持って居ても不思議な事では無いと言った。確かに、そうなれば、やはり両族の交わりは深くあり、繋がっていた事になる。そんな話をしながらも、室蘭は、この小さなもごもごと動くものが、何故自分の数千倍、数万倍もあるような生体をコントロール出来るのかを不思議がっていた。
「つまり、肉体の中で栄養素を吸い取り、やがてその個体はより栄養源を摂取する必要性が出て来る。つまり、肉食が一番効率の良い手段なんです。その為には自らを攻撃力の持った肉体の改造が必要となります。元々の巍然族とは砂漠地帯において、穴に潜り土中の蚯蚓・・ああ、これは元々耳洞族には棲息していなかった種なんです」
「じゃあ、この土蚯蚓もまた魔虫に?」
「そうですねえ・もう魔蚯蚓と言って良い位の棲息数だと思うのですが」
「俺達は食った。美味かったがのう」
「焼いてね・・そこが大事なんです。生食をすると言うのは巍然族がそうであったように、元々砂漠地帯には魔虫等存在もしなかった。だが、耳洞族平原には無限に近い位存在していた訳です。その水を沸かさずに飲んだ事がこの変化だと考えられます」
「むう・・もはや、これはどうにもならぬと言うんだな?」
「はい、もう体に入り込まれた瞬間からどうしようもありません。増殖し続けるのです」
「すると、これは人以外も全ての個体もか」
「そうですね、その通りで御座いましょう」
備前が言い切ったのだった。
室蘭は、これからどう戦って行くのかを閲呉達と話しながら戻って行った。
「食い物が尽きれば、また押し寄せて来る。その為の防御壁及び、進路の構築は俺は必要だと思っている」
閲呉が言うと、それには3人の側近は大きく頷くのであった。有効な手段兼防御目的の壁は必要なものだし、監視役を所々配置しながら、飛翔隊の役目は遠くへ行くのに重要な役目だった。しかし、危険と見れば、引き返すように閲呉は自分自身も飛翔役となるが、そう戒めても居た。