表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔界との戦い  作者: 白木
91/113

敵襲!

 その言葉が、真っすぐに揺るぎない視線で向かって来る閲呉の、燕尾、気藍すら自分達より上だと言うこの上無い人を眼前で比較、評価するような侮蔑の言葉さえも吹き飛ばし、真っ白な心が見えたのだ。知らずに眼前で涙を零しながら膝を折っていた。何故なら、燕尾、気藍も自分の前で頭を深々と下げているのである。自分達より上なんだぞと言われているのにも関わらず。

 閲呉は手を取った。


「備前、有難う。今はとにかく人だ。俺は全体を常に見回している。そして、備前の言動、行動をずっと見て来た。あんたは、才を表に出す事なくとても奥ゆかしく、そして信用たる人物であり、大器だ。俺には分かる」


 こうして、閲呉の側近にまた優秀な者が加わった。誰もえこひいき等しない閲呉のど直球過ぎる人心掌握術は、天然のものだが、こんな環境、世界でも受け入れてられているだ。そして、次々と布石を打つこのやり方は、恐らく彼自身の中で何かが感じられるのだろう。事実、予想もしない火山の噴火も起きたが、自分達の住む所が昔噴火した火山の噴火口跡地だと知ったのも、そう言う情報が先にあったものだ。そうでなければ巍然族にとっては、右往左往の状況であっても、黒魔洞をしっかり確保出来ていたし、砦の構築もあったのだ。これが無ければ、黒魔洞制覇前の状況では、上原族の平原に魔物達が押し寄せていただろう。偶然にしては、余りにもそれは閲呉が居てこその先行的行動がもたらしたものだ。やはり、それが人間的な第六感だと言うのだろうか。誰もこの先の事等分かる筈も無いものだが、閲呉もそれを予期してこう言う人材発掘や、訓練、情報収集、研究も含めてやっている訳では無い。だが、人を動かすには、集団をまとめられるのもやはり人なのである。閲呉にはそれがあるように思えるのだった。これは、備前の見解である。閲呉が語っている訳ではない。

 室蘭が呼ばれた。副将格と今はなっているが、元々豪将で名高いこの軍団の頭でもある。しかし、人心掌握術や次々と発想の転換と、その記憶力の高さでぐんぐんと頭角を現し、自分とも互角に戦える若い閲呉の登場によって、その座を譲っているのである。


「今日は何か?」

「室蘭殿をここへ呼んだのは、新に自分の側近に、備前を指名したので、紹介と、魔虫とは何かと言う少し発端を掴んだ気がしたんでね」

「ほう・・魔虫の事が?いや、それに備前ならとっくに知っている。耳洞族において、とても知能が高い若者が居て、巍然族や、魔物を退け続けて来たのは備前の力だと聞いている。備前・・お前も我の事は良く知っておるよな?ははは」


 顔見知りだったのか、閲呉は思った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ