第1章 勇者現る
その「どりゃあああーーーっつ!」の大音声が二度目に聞こえた時には、真っ二つに白魔はされて地面に転がっていたのであった。
「ふ・・残りは逃げたか」
ようやく室蘭はその数体の白魔をロープで引きずり、自分の村と言う呼び方にどうやら統一されたらしい。ただし、この辺りで互いに連絡がつく地域だけの名称だったが。
白魔も大変美味かった。栄養的にも赤魔に劣らずである。
そして、しばらくして飛翔部隊なる数人に過ぎないが、ある程度飛べるようになった、
小柄な衛琉が、習得が早かった。そしてもう一人我利と言うやはり同じく小柄だが敏捷性のある者が加太のお墨付きによって、もう少し自分達の住むエリアの探索をしないと、ここままでは赤魔、白魔は絶え間なくやって来るし、不意打ちでもう何人も自分達の居住地の者達が食われてしまった。その分、魔人達も食ったが、常に緊張状態が続いているのだった。守る為に闘うような繰り返しに、知恵者抜燐の言うように、もっともっとその周囲の状況や、他に分断されて住む地区との連絡網も必要だったのである。
この周辺は広大な平坦な大地に覆われていて、所々に緑が生い茂った草原があり、その中に自分達が植えた植物等もあるのだが、魔人達が嫌う匂いを発する植物は長い時間をかけて発見して来た。それまでは、相当の人が魔人達に襲われ食われていたのだ。抜燐の言う通り、一体人たる者達はどの位居るのかと言う事だ。不思議な事に言語は通じるし、彼らが不意に出会ったとしても、人同士が戦う事は無く、互いの情報交換をするように自然となるのだ。これは抜燐が言う所では、もっと昔に、先祖が遺して来た武具や装具を見ても、一つの集団として過ごしていた名残では無いかと。
そして、すぐ報告が3名の飛翔部隊によって明らかになりつつあった。
こちらは、どうやら、背無理、恵比寿と言う大将が互いに手を結び、この地区同士を合体させようと言う事で、大きな魔人忌避の草原を道のようにつけた事で、行き来出来るようになったのだった。その草原には、やはり魔人達は襲って来なかった。ある程度のバリア見たいなものが出来た訳だ。そして、やがてそれにも耐性を持てば、また襲って来るだろう魔人達には、常にこちらの防御態勢も必要だと抜燐の言う言葉には頷ける。彼にも知恵のある数名が研究部隊のようなものだ。短時間に結成されたのだ。今の所行き来出来るのは3地区となっていた。総数にすれば、100名にも満たなかったものの、この3地区には身体能力の飛び抜けた先に登場して来た、豪将達が揃っている事は、心強かった。常に人は、この不安の中で生き抜いて来た事になるのだ。
「草原と言うか、平野と言うか、相当広いです。けど、その周囲に巨大な山があって、赤い岩体、白い岩体、黒い岩体、緑色の岩体がほぼ取り囲んでいる」