敵襲!
魔物達は体もでかくて、危ない奴らばかりであったが、以前の赤魔、緑魔、白魔達との戦いを経て来た彼らにとっては、むし琵衛魯以上の魔物は今の所遭遇しなかった。どうにか琵衛魯をこちら側の守護魔物として手懐ける為には餌を与えなくてはならない。その折に、飛虫がどうやら、桧葉に集まって来だしたようだ。飛虫は飛翔力もあり、あの噴火の際にもいち早く逃げていたようである。そのお陰で、琵衛魯の餌については自動補充が出来るようになった。
そして、ここで作戦会議が幹部達で行われる事になった。物探の傷はもう癒えていたし、飛翔隊の活動距離もかなり伸びて来ていて、巍然族が後退しているものの、相当数のまだ集団があちこちに居る事も分かって来たと言う報告会議でもある。黒魔洞が今はその重要な基地ともなっている。
「飛虫がまた戻って来ている。これは、琵衛魯の数が3分の1になった事で、防御態勢の穴が出る懸念が出来た。これは、我々の本拠である上原族の土地まで飛来して来る可能性が高まったと言う事だ」
難題に継ぐ難題だった。これは飛虫が食う側と食われる側の拮抗があったればこそ食い止められていたこちら側への飛来が、今度は壁突破されるかも知れないと言う難題である。飛虫は50キ=50センチもある大型の草食昆虫だ。もう、貪り食う程の大食感であり、黒魔洞より先に広がっていた草原があったればこそ、これは食も充足もしていたのだろうが、火山の噴火でその草原は消失した。上原族の平地にあった4種の草はこちらの平原に適合し、勢いよく増えてはいるものの、閲呉が行っていたのは、無数に散らばっている黒赤色のごつごつした岩石の処理だった。塀の構築と共に、少しでも眼前の平野部、通路を確保しようとしている最中の事であり、これは新手の敵となる由々しき喫級の問題だった。琵衛魯がどんどんと増える訳では無い。無数のその飛虫は、あっという間に眼前の草原の草を食い尽くしてしまうだろう。それに対抗できる手段等は思いつかなかったのである。
「耳洞族は、楽理の煙で退けていたようですが・・」
気藍が言うが、
「余りにも広大だ。我々の暮らす平原は、ここまで分かったように、古い火山の噴火口になる限られた場所。しかし、この黒魔洞から見える周辺は、ほんの一方向だけに過ぎない。周囲全てに兵を配置し、琵衛魯の空白地帯にそれを準備出来る程の人員も居ない。必ず、どこかを抜かれるだろう。抜かれたら最後だ、そこから山岳を超え我らの居住区は食うものさえ無くなるんだぞ」
「むう・・」




