敵襲!
「おい、物探。血が出ている。大丈夫か?」
「ああ・・かなり切られたようだが、腕は動く。貰っている血止めの薬湯を塗ってくれるか?背無理」
「おう・・」
背無理は薬湯を塗ってやり、その上から布を巻いてやるのだった。
「ふう・・それにしてもこいつらはかなり強いな」
物探が言うと、背無理も
「ああ・・まだ息がある数個体を見て来たが、この皮が相当に我らの武具をはねつける。やっかいだぞ。こいつらはまだ相当数生存しているのだろう。こちらも、もっと強力な武具を持たないと、殺られるだろう」
「おう・・そうだな。とにかく、こいつの皮を剥ぐ、手伝ってくれ、背無理」
こうして、バリバリと皮を剥がすと、その体を食おうと、土蚯蚓が顔を出した。
「うおっつ!やっぱり土蚯蚓も生きてやがったんだな?」
その情報を受けた閲呉は、すぐ指令を出し、
「琵衛魯の前に、巍然族の皮を剥いだものを置け。そこに土蚯蚓が出る。巍然族本体そのものも餌になろうし、土蚯蚓も餌になろう。当分、琵衛魯も暴れまい」
こうして、数百体の巍然族の死骸は集められ、700枚と言う皮が集まった。これは、こちらの上原族の全ての戦士集団にいきわたる数となったのである。約だが、この砦から数トイ付近には、もはや巍然族は居なくなったし、この土地が焼けたおかげで、凄い勢いで栄奎、桧葉、楽理が育って行ったのである。その間に、閲呉は冷えた岩を砦周辺から道をつけるように壁として利用し、その通路として伸ばして行ったのだった。こうする事で、襲撃にも備えられるし、言わばこれは万里の長城のような砦になろうとしている。こちらは、とにかく備えが先決なのだ。それが閲呉の策であるし、植えた栄奎は、どうやら土蚯蚓が嫌う匂いを発するようで、この砦付近には近寄らない事が判明し、砦周辺に植えるのであった。あれ以来巍然族は姿を見せないものの、一頭、二頭と魔物達は現れた。その魔物達と日々戦う閲呉隊であった。




