敵襲!
これが一対一であり、またこの巍然族が健常であったなら、容易に倒せる敵では無い事はさしもの勇士物探も悟った。
「なかなかの強者だな。その状態で我の長刀を二度までも受けるとは。だが、益々その皮が欲しくなったぞ。お前の皮は特に硬そうだ」
確かに個体別にそれは差があるのかも知れないし、物探が戦っている相手は、かなりの強者でもあるのだろうか、二度、サンド鞭風の武具を振り回したものの、片腕では威力が半減していたし、物探はとにかく動きが良い武将だった。勿論こちらも右腕を切られている事もあって、少し切っ先の威力も落ちているのだろうが、その鞭をとうとう切ってのだった。
「ふ・・その武具無くては、もはやお前も終わりだな。どりゃああああっつ!」
今度は一際高い声を上げた所に、物探の後方には背無理も来ていた。
「生きていたのか、おい物探!」
「邪魔するなよ、背無理。こいつは我が倒す。そして、この皮は是非とも欲しいからのう」
「成程、数点の皮を集めて来たが、生きている巍然族はこれで数個体目だ。こいつが一番生きも良さそうだが、抜かるなよ、物探」
背無理は何時でも助太刀が出来るような体制で、その物探の長刀が二度、三度、今度は巍然族の脚に狙いをつけて振り回すと、とうとう、どどん・・と巍然族は倒れた。脚を切り裂いたのである。
「お・・弱点は脚か。こいつらが進軍して来る時、黒焦げになった魔物を見て来たが、成程。走る速度は弱いようだな」
背無理が様子を見ている。
「どりゃっつ!」
物探がその頭部に切っ先を入れると、巍然族は声も出さずに絶命をするに至ったのだった。