敵襲!
異様な姿に驚く閲呉隊だった。閲呉は、
「見ろ・・これは最近入手した情報だったが、体にくっついている虫が居る」
「お・・これは何だ?」
一同が近寄った。
気藍が、
「やはり、これは魔虫と言います。これは寄生虫と言い、その生体にとりつき、最後には脳を支配するんです。この虫は非常に小さくて見えないのですが、寄生した生体の栄養を吸収しながら現在見える大きさに成長しているようです。つまり、繰り返しますが、その生体の栄養を吸収しながら思いのままに操るのです。つまり、巍然族とはこの魔虫に支配された集団だと言う事です。閲呉大将の言葉が無慈悲で、恐らく皆様には非情に聞こえたでしょう。しかし、これを生かす事は、我々も同じく魔虫に支配されると言う事なのです」
「む・・こ・・な虫が?この大地の向こうに居る訳か?」
「いいえ、恐らく巍然族の住んで居た砂漠・・その生育場所を見つけている訳ではありません。この魔虫は単独で生きられたのかも知れませんが、この大地においては、寄生せざるを得なかったのだと思われます。つまり、寄生すしなければ、大地で単体での生存は無いと思われる・・と言うのが、抜燐師の見解です。それしか今は分かりませんが」
室蘭が、閲呉に頭を下げた。
「閲呉・・お前はやはり優れた大将だ。微塵にでも疑った事を詫びる」
他の幹部達も一同に頭を下げるのだった。
その室蘭には玲都が妻になり、既に2人の子供が出来ていた。恵比寿も勇将の一人だが、室蘭は大将の地位を閲呉に譲ったものの、豪将の一人だ。今は閲呉を補佐する大将補佐である。
「いやいや、俺は室蘭さん、あんたが大将で良いとずっと言っているし、今回は加太の飛翔力に頼り、色んな所に調査にも飛んで貰っていた。飛翔隊はとても大事な役目なんすよ。その飛翔力では加太と共に、室蘭さんは特級レベルだ。それでね、思ったんすよ。この鱗の鎧を出来るだけこの火が収まったら、回収して来て俺達の武具に改良しないっすか?飛矢もこれから貫通しない。幸か不幸かこの火山の噴火は、この強大な敵が半減した可能性もあると思うんすけどね」
「おう・・まだまだ油断をしてはいけないって言う事は、重々承知している」




