敵襲!
「これは・・火山が噴火したのね・・きっと」
やっと燕尾が声を出す。余りにも急激で突然の状況に誰もが肝を潰していたのだ。
「天の味方か?或いは、罰なのか・・」
室蘭が震える声を絞り出すように言うと閲呉は、
「遠い昔から、こんな状況が何度も続いて来たんだろうな。たまたまこれが今回起きただけの事、恐らく巍然隊、魔物の生き残りは僅かであろう。我々は、あの火山の噴火が収まるまではここで待機し、様子を見るしかない。もし、ここに巍然隊が逃げて来たら、飛矢を撃て」
「え・・」
閲呉は助けろとは微塵も言わなかったのだ。
「無情に聞こえるだろうな・・だが、これは奴らが耳洞族を滅ぼした時と同じなんだよ。俺は知っている。その結果として耳洞族は滅ぼされたんだ。俺達がここで救ったとしても巍然族にはそう言う感情等は全くないと思う」
少しは言う事を理解出来たものの、閲呉の考えには違和感は多少あった。
そして、数名だろう巍然族が砦付近に姿を見せた時、それには躊躇は無かった。飛矢を放ち、彼らを駆逐した閲呉隊だった。その時に、気藍が気づいた事がある。
「誰か、巍然族の遺体をこちらに引きずって来れないかしら?」
「我が行こう」
声を上げたのが、安良であった。剛力の安良は自分達より、1回り大きな巍然族の戦士を黒魔洞に引き揚げて来た。
「う・・」
それは初めて真近で見る巍然族の姿であった。飛矢数本が致命傷になったのだろう。腹と胸に数本刺さっていた。
「こいつら・・体が鱗で・・そうか、甲冑のように見えたのは鱗・・」