敵襲!
おおおおおおおっつ!どどどどどっつ・・!
地響きが聞こえて来る。既にそこまで迫って来ているのだ。閲呉隊はもう一瞬の油断も出来なかった。
ごご・・ごろごろごろ・・いや・・しかし?その巍然隊の背後に更にとんでもない地響きがした。そして、地が揺れたのである。
うおおおっつ!それは巍然隊の進撃を止めたのだ。
閲呉は、大音声で、
「しばし待て!待機、待機!」
寸前で、こちらの寸止め策が停止されたその巍然隊の遥か後方にて、真っ赤な炎が天空まで上がっていた。
「な、何だ!あれは」
地鳴りは巍然隊の大軍勢の音をかき消すばかりか、こちらの黒魔洞にもぐらぐらと揺れる振動を感じた途端であった。
どかーーーーーっん!
激しく大きな火花が上がると、今まで見る事も無かった。巍然隊の平野部後方から巨大な山が見え、そこから火が上がったのだ。
「聞いていた火山の爆発が起こったのか?」
閲呉は少し冷静になり、右往左往する巍然隊にその眼は向きながらも、
「黒魔洞に避難せよ!」
また大声で指示を出した。その判断も瞬間であるが、ここまで閲呉隊は準備を怠らず、訓練をしていたお陰で、さっと軍勢は黒魔洞の中に。
こちらも一瞬の事であった。
どん・・どどどん・・どん
空から大小の石が落ちて来る。もう巍然隊どころの話では無かった。砦前面からは炎が上がり、前方の大群もその中に巻き込まれているようだし、空から爆弾のように石が降って来た。幸いにも黒魔洞はとても頑丈な岩帯で出来ているらしく、その中からかろうじて外の様子を見ているのみで、耳洞族も閲呉の指示が早かったお陰で、彼らが塒にしていた。やはり山中には幾つもの祠風の穴があるようで、そこに逃げ込んだようだ。




