敵襲!
閲呉は見事に彼らを掌握していた。そこから急速に近代戦とも言えるこのような武具を持つ事は、多勢に対する手段なのだ。魔物使いにしても、自分達の力だけを駆使しても、その当時の上原族は数万人も住んでいたのだろう。簡単に滅ぼす事は出来なかったのだ。やはりそこには戦略があり、食を奪うと言う生物・・戦うと言うのは、動物本来の根本原理なのだ。否・・生きるが為の本能なのである。
しかし、その前に巍然族は仕掛けて来た。こちら側の兵力が自分達と比して圧倒的に少ない事をほぼ知ってしまったからだ。
「来る!怒涛の大群だぞっつ!」
濛々と砂煙を上げて、巍然族は怒涛の進撃をとうとう開始したのだ。もはや、飛矢程度ではそれを止める事は不可能だ。魔物を前面に押し出し、後には、上原族の武具など薄着のように見える甲冑のような武具を着て、地響きを立てて・・
「駄目だ・・間に合わない。こちらの飛弾の製造等追い付かない大軍だ」
「閲呉・・ここは持たない」
燕尾が言うと、
「退却だ。黒魔洞を封鎖する。砦を捨てよう」
閲呉は、さっと退却を指示すると、馬路族の50名の者に指示をした。
「山腹から、用意してあった岩を落とせ。同時に、火を放て。お前達は火をつけた後、すぐに退却するんだっつ!」
そして、幹部5名を呼んだ。
「飛翔隊!我に続け。腹に持てるだけの飛瀑を持ち、巍然族の前線に居る魔物にこれを投下せよっ!良いか!飛鳥系の魔物が来たら、室蘭!基蛾!衛琉!笛を吹けっつ!そして、深追いはするなあっつ!距離を保ち、黒魔洞に火の手が上がったら、退却だっ!」
これは、戦いでは無かった。退却の為の矢継ぎ早の手段を行使したのだ。戦えば勝ち目等は無かった。最初から分かっていた事なのだ。




