敵襲!
「偵察飛翔隊によると、この我らの上原族平原とは、その昔に地が割れ、そこから膨大な火を噴いた場所だと言う。その火を噴いた場所が我らの住む平原なのだ。そして、このような場所はあちら側の巍然族の平野内に幾つもあるようだ」
「ほう・・」
一同が新たな情報に少し驚きながらも、閲呉が色んな情報を集めている事を知った。
「つまり、我らのような閉塞した場所がこの向こうに幾つもある訳だと思う。その中には今も火を噴いている場所も幾つかあるようなんだ」
「幾つも?火を噴いているって?」
衛琉が言うと、ざわざわとする彼らに、
「驚く事では無い。我らの平原とてその昔に火を噴いたのだとしたら、今後もその火が吹く可能性もあると言う事だ」
「何い!」
びっくりする彼らに、閲呉は、
「赤魔洞を見ただろう。しゅうしゅうと湯気を立て、熱い湯と鼻をつく匂いが立ち込めている。長い間は居られない。その中から今回は、その飛弾の原料となる黄石を掘っているのだ。それを使う」
「それが、黒魔洞の黒蜘蛛を吹き飛ばした時のものなのか?」
「いや、あれはたまたまこの黒魔洞内に、その臭気を呼び込み、その煙を利用して火をつけたのが偶然の効果を示しただけだ。そこから何故そうなったのかを、ずっと気藍を中心に調べて来た。つまり、これを火の薬・・火薬と言う。それが飛弾なんだよ」
「知らない事が多過ぎる・・ふむう」
閲呉は、
「何事もな、俺も体現しながら考えた。その先には、こう言う事は重要なんだと思う。戦うには知恵も居るんだ。勇猛なだけではいけない。共に学ぼうぞ」
「おうっつ!」