敵襲!
こんな飛矢数本で、巨大な黒鳥がダメージを受けるのだろうか・・それ程巨大な鳥であり、飛鳥一羽にしても、翼長が5マムもある大きさなのだ。つまり人の2.5倍はあるだろう巨体なのである。そして黒鳥はその3倍もあるし、飛虫は空を覆わんばかりの無限にも思える数なのだ。それが逃げ惑って四方八方に飛び、この砦にもぶつかっている。この大きさも決して小さくは無かった。0.5マム・・つまり50センチはあるだろう巨大な虫なのだ。
「よしっつ!今だ!」
シュバッ!
饗場の矢は確かに正確に黒鳥の胴体の一部に突き刺さった。しかし、何の変化も無い。その中で、とうとう前方の楽理の林は燃え尽きようとしている中で、再び後方に下がっていた敵軍の姿が見えた。
「うおっつ!黒魔物の背に乗った。敵軍の姿が見えた。何人居るんだ・・・これは」
馬路が声を上げた。しかし、閲呉は前方を厳しい眼で向いたまま。どんな戦闘を仕掛けてもこれを破るなんて不可能だし、戦闘服と言うのか、とても硬そうな装備をしていて、こちらも断然単騎でもし戦ったとしても、あちら側と果たして勝てるのだろうかと言う、圧倒的な威圧感がある。
閲呉が言う。
「気藍、笛を吹け・・お前は知っている筈だ。抜燐殿はある程度、白魔をそれで誘導していた筈だ。何でも良い。その笛を鳴らして見ろ。お前が教えて貰ってなくても、音を出すだけだ」
「閲呉・・貴方は何を?」
燕尾には分からなかった。しかし、気藍が笛を鳴らすと、閲呉隊が全員耳を押さえた。
「う・うおお・・止めろ、止めろ!」
気藍が笛を吹くのを止めると、
「あぶねえ笛だなあ・・耳が潰れるかと思ったぜ」
閲呉が問う。