そして、足場が出来る
「魔物って言うのは、抜燐師が創り出そうとしていた事はもう公になったよね」
「ああ・・身震いするが、その創り出した魔物が俺達を襲い、食ったんだ。全然支配下に置けてないじゃねえか。危ない事をしやがって・・」
確かにそうなんだ。いかに学術系の者であろうとも、そんな研究をして自分達の脅威になるようなものを生み出すなんて、狂気の沙汰なのだ。
「どこかで、抜燐師がその魔物を生み出すと言う情報を仕入れて来たんじゃないかって事を言っているのよ。ここは責める話じゃないから」
「だってよ・・」
惔倹は黙ったが、ここで燕尾は、
「つまりね、言いたい事は、こっち側には同じような研究をする者が居ると言う話よ。そして、分かったでしょ?赤魔は、結局白魔が染まったものだったし、緑魔の2種は赤魔洞から採れた薬湯によって変化した、草食系の生体だったって事を。つまり、そう言う薬湯をこちら側が黒魔洞を通って赤魔洞に採取しに来たって事よ。この薬湯が切れたら、草食系の元の姿に戻るんじゃないかって言う話をしているのよ」
「分からねえわ・・理解外の話だ」
惔倹は首を振った。馬路も饗場もその話は飛躍し過ぎてとんでもないものに聞こえたのだ。閲呉は黙っている。推理は出来るが、そんな確証など何もないのだ。それでは、抜燐がこちら側と繋がっていてもおかしくない話にも聞こえてしまう。