そして、足場が出来る
「前から言われている。自分が動いてこそ、より多くの事を知り、状況も把握出来るとな。閲呉、それはお前から習った事だ」
「ふ・・で?どう思った?」
「まだ、分からない事は満載だ。しかし、あちらの飛具が前進して来ないように、あらかじめ、こちらの攻撃力がどこまであるかを見せつける必要があるのでは?ここで監視する為だけに陣地を構築した訳ではあるまい?暗路爆発は、相当の脅威を与えている事に間違いはない。まずは、今はこちらが優位に立っていると我は思う」
燕尾がにこりとする。育っていると思った。閲呉が側近を自然と育てているのだ。同時に闘うと言う事は、相手を知り、こちらの力量も知る事なのだと・・
閲呉隊は、抜燐から、まだまだ完成途中と言われていた爆弾のようなものを既に使用し始めたのである。それは、画期的なものであると同時に、実験中に数名が命を落とした。そんな危なっかしい物を、今回は使用したのである。結果は大成功だった。しかし、その犠牲の上にあると言う事と、彼らは戦術と言ってもその程度のものでしかない。原始的な戦術などは、本当の戦いでは無いのだ。
ここは、空中戦だ。その為に飛翔力を磨いた。そして、この相手がそれ以上進軍して来ないように今は、警告するのだ。それが最善の策だと燕尾も言った。
そして、夥しい空中からの爆弾もどきが投下されると、集結し徐々にこちら側との距離を詰めようとしていた敵軍が止まった。双方に今は戦うべきでは無いと言うそれはジャブだ。彼らもこのような危険な武器を使用する者達を通常の肉弾戦や、或いは魔物使いと言えども、魔蜘蛛が悉く殺された、これは防御壁を突破されたのだ。その為の脅威が増している現状下、これ以上進出させては危ないと言う危機感を持っている。こちらの恐らく調査もしている事だろう。それは、夜烏と言う魔物使いが、周辺を飛翔隊より速く飛ぶ大きな鳥がそうであろう、しょっちゅう飛び回るようになった。
「ふむ・・こちらの戦力、備えを調べられているようだな」
閲呉がそれを知っていたが、特に詳細を語る事は無かった。
惔倹が、呟いた。
「何か、相手は不気味だな・・こんなに魔物使いっつうのは、手駒として、様々な怪物を自在に駆使出来るものなのか?」
気藍が、ここで言った。