そして、足場が出来る
「良く分かった。俺も、飛翔の訓練を兼ねてそれをやって見る。あ・・そうか、同時に俺達の平野を囲む岩山を回る事が、この平野の大きさを計る事になるのか」
「分かったようだな、ずっとそれをやっているんだよ。まだまだ俺達は知らないといけない。そして、そうじゃなきゃ黒魔洞を突破した意味がないだろ?魔物使いの存在も、琵衛魯だけじゃないんだからな、ひょっとしたら飛虫すら動かしているのかも知れないんだ」
「閲呉・・お前は色々考えているんだなあ」
はははと、閲呉は笑った。そんな事は、まず戦いと言うものの初歩だと思っているし、燕尾程の知恵者が傍についているのだ。それに気藍も加わっている。閲呉隊はもう数歩上の戦術を駆使出来る階段を上っているのである。
そして、新たな情報が入った。
「敵は、かなりの数を集結させている。こちらの破壊武器を見て、何か飛び道具のような遠距離からの攻撃態勢を敷いているようだ」
成程、敵にも軍師的な者が居るらしいと聞いているし、それはそうであろう。戦わねば自分達が破滅されるのであるから。山岳集団はどうにか懐柔に成功したが、今度はそうなる事は恐らく無いだろう。何故なら、こっち側の平野を虎視眈々と狙っていたし、元々の住民である山岳民族を急峻な山岳まで追いやったのだから。
「先制攻撃をすべきか、相手の飛び道具がどんな破壊力を持っているかを先に探るのが先か?」
閲呉の腹は決まっていたが、この閲呉隊の幹部6名全員の意見を聞こうと言うと、真っ先に我利が手を挙げた。
「先制攻撃すべし」
「賛成だ。飛翔隊は、ぐんとスピードも増している。そして実際のこいつらの飛び道具の威力と距離は見て来た」
そう言ったのは馬路だった。
「ほう、馬路、お前は何時の間に?」