世代交代の巻
こうして数時間後に、燕尾が、閏琉隊と共に顔を出すと歓声が上がった。
「上手く行ったようだな、燕尾」
「閲呉の作戦も見事に的中したようだね、琵衛魯は出来るだけ殺めたくは無かったけど、この怪物は、飛虫を食うむしろ益物のようだわ」
「飛虫はあらゆる植物を根絶やしにするらしいな。こっち側も相当そう言う事で被害があるのかも。それなら、守護に徹すると言う姿勢も分からないでもない」
「そうかも知れないが、この地には何が居るかは分からないのよ。どうする?この後を」
「飛虫がやっかいなんだよ」
閲呉が眉をしかめた。
「でも魔物使いがここへ居たと言う事は、それを回避出来る何かがあるのでは?」
「それはそうだな・・いや、楽理の煙があったな、それじゃねえのかな」
それは、確かにそうだろうなと言う結論に達した。そして、楽理は平地でもどうやら生えているようだ。ならば、その草原と言うか灌木に近い平地は飛虫に食われずに残って居る事だろう。
夥しい数の魔蜘蛛を見ながら、その死体を今度は奇妙な長い胴体の生き物が寄って行く。これも、こちら側の平原には居なかった種である。しかし、その死体を貪って行く。かなりの食欲のようだ。
「あれを食えば、結構食は満たされるかもな。しかも、土中から這い出て来たようだぞ?」
そう言う所は見逃さない閲呉であった。
「結構でかそうだしな、2マム位の長さがある。あの一匹で10人はいけそうだ。試しに捕まえて来る」
言うが早いか、特に攻撃性も無さそうなので、閲呉はあっと言う間に捕まえぐるぐるに桧葉にくるんで戻って来た。姿は、現在の動物で例えればミミズそのものだ。ただし、口の中には鋭い歯が生えていて、それに噛まれたら腕一本なと簡単になくなってしまうだろう。胴体をすぱっと切ると、すぐその桧葉のまま焼きだしたのであった。
「思う事とする事が一緒だな、閲呉は、ははは」