世代交代の巻
「どどどん、どどん・・どん、どん!」
ぐがああ・・ぐおおおお・・凄まじい叫びが聞こえる。しかし、それ以上に、もっと凄い地鳴りが響いたである。
「どがあああーーーーーーーん。ビリビリビリ・・どどん、どおおおおおーーーん」
それは何度も響いた。
魔物使いは何事が起ったのか理解出来ずに、後ずさりすると共に、危険を察知し後方に向かって走って行く。
「今だっつ!」
閲呉が飛翔隊の先頭を飛んで行く。しかし、その前方にはもう、琵衛魯は居なかった。首をだらんと下げて、舌を出したままで動かなくなっている個体が3頭居たのである。
「道は出来た!黒魔洞の先端を守護するぞっつ!」
何が起きたのか、全く理解出来そうには無かったものの、燕尾から気藍に伝達が入ったようだ。
「閲呉隊長、燕尾が間もなく黒魔洞を前進して参ります。中に居た魔物は全て駆逐したようです。全てこっち側に吹き飛ばされているようです」
やっと猛煙が収まって来ると、何か焦げた匂いがした。その眼前には夥しい程の既に名前はつけたようだが、魔蜘蛛がばらばらの体となり転がっているのであった。そして、魔物使いの周辺に居た数十名の者達もそこに倒れている。数時間は、もうこっち側の戦士たちは近づく事も無かった。圧倒的な武力と、戦術に恐れを成したのだろう。琵衛魯まで空中戦で殺られ、黒魔洞の中に居た魔蜘蛛さえも悉く吹き飛ばされたのである。恐れるのは当然だろう。そこまで大掛かりで、これまでの戦いとは全く異にするような攻撃を行ったのである。これは、今で言う爆弾だった。その開発をやはり抜燐がしていたし、そしてそれを利用すれば、洞窟は構築出来ると言うものなのだ。その材料が赤魔洞、白魔洞にあったと言う事である。そして山岳集団もその最後の手段となるであろう、材料を山中で発見していたからこそ、そこまであちら側の勢力が追って来る事は無かったのだ。幸いにもこちら側に対して使われなかったのが幸いでもあっただろうが、そうなれば相当の被害を被ったに違いない。先に動いた閲呉達のやり方が成功した事により、ここは策が生きたと言える。