世代交代の巻
大きくは室蘭と言う大将を中心とする組織の役割には変化が少なかった。彼らはまだ本格的な組織戦と言う戦い等を経ていないからだ。やっとこの閉鎖的な空間から、未知の世界に飛び出そうと言うのは、まず分からない事を一つずつ解明していかねばならない。このまま勇猛果敢に攻める気概は必要な事だが、猪突猛進はいけない。それを学びながら、彼らは一歩ずつ積み重ねて行った。閲呉も、その勇猛さ故に立ち位置的には後者であったが、燕尾が妻・軍師の役割をする事になり、また新に気藍も加わったのであるから閲呉隊こそ、先発隊であり中心部隊に位置付けられている。ここからは、遊軍部隊として室蘭が、主力部補助部隊と位置付けられ猛者の集団となっていた。我利もあれから、元々身体能力の優れた武将だ。先頭に立つ4士に並ぶ武勇を発揮している。
武勇とは?既にその戦闘は始まっていたのである。
「あれが、猛物使いか?」
馬路が指さすと、閲呉が、
「ああ、琵衛魯使いの者だ。やつらは、抜燐殿と同じく、ようやく赤魔洞と同じような薬泉のような場所があちら側にもあってな、この薬湯を飲ませると、色んな怪物に変化して行くようなんだよ」
「つまり、作り出した怪物なんだな?」
「そのからくりって言うのは分からねえ、しかし、基の体は陸に居る気藍の情報だと亀なんだよな?」
傍に居た気藍が答えた。
「ええ、陸に居る亀は、あたい達のところにも居た。けど、抜燐殿が自ら実験をする為に色んな種を飼育していた。それは代々続く抜燐殿の家系の伝統だったようなの。極く秘密理に、やはか赤魔洞付近の数か所で飼育されていたようなの」
「ひょっとして赤魔を生み出したのも抜燐さんじゃ・・」
馬路がそう言うが、閲呉も気藍も首を振った。
「いや、それこそ、あっち側から送り込んで来た魔人なんだよ。つまり、俺達の存在を知り、次々と怪物を送ろうと言う計画だったようだ」
「じゃあ、山岳集団は追われた元住人?」
「その争いの中でな、激しい戦闘があって、敗れた集団が山に逃げ込み、山岳で住む事になったようだ。そして、言葉を奪われた」
「え!」