正体見たり!
その理由は直接抜燐に聞きだすしか無くなったが、赤魔洞では赤魔等は飼育されている筈も無い事もここへ来て初めて分かったのだった。
閲呉は戻り、燕尾と再び合流する。互いに何か有力な情報を得たようだ、黙って頷き合うのであった。
「・・と言う訳で赤魔は元々白魔であり、薬湯を飲み赤魔になったそうだ。よって赤魔洞には魔人は住めない。人も長くは居られないと言う事だ」
「とても重要な情報よね。なら、こっちも・・確かに抜燐師の本業と言うか専門は、医術のようなのよ。これで病気を治して来た代々の血筋」
「繋がったな・・赤魔洞は、そのまま存在し、横の黒魔洞の暗路に赤魔人は居た。そしてその暗路にはデカ過ぎて黒の怪物は入って来られなかった。赤魔人もそれを知り、奥までは行く事も無かったから、こっちに食を求めて出現して来たと言う事だ」
「まあ、粗方の情報はそうね。でも肝心な事が抜けているって思わない?」
「ん?まだ何かあるって事か?」
「黒魔洞には、ずっと以前から怪物が居る。でもその怪物をすり抜けて魔人達がやって来られる?」
「成程・・今暗路を塞いでいる先に、枝道があるって事か」
「恐らくね・・で、気藍がこんな情報を聞き出して来たのよ」
燕尾は、閲呉の記憶力が抜群に良い事を知っているし、直観画像記憶力がある事も知っている。だが、小声で耳打ちをするのであった。
閲呉は黙って頷いた。成程・・と言うような顔である。
そして、二人は岩山の祠に三度戻る事になった。
「変わった事があったか?」
「いや、何も無い。ここから右方向下には山岳集団が、ばらばらで暮らしている。時折夜になると、天鳥を捕らえて戻って行くようだ」
「楽理と一緒に食えば、十分だからな。腹は満たせる」
閲呉も頷いた。
「で?ここへ、我利を呼んでいるんだ。もうすぐ来る」
「え!我利って、あの抜燐のご注進じゃないっすか!
馬路が叫ぶように言った。




