正体見たり!
「おう、それじゃ。その石を矢の頭につけたり、色んなものに加工した。枝分かれした緑魔がそこへ巣食ったんじゃよ」
「合点したっす。じゃあ、最後に赤魔洞っつうのは?」
そこになると、くしゃくしゃの顔の塔蘭に戸惑いの色が見えた。
「それか・・赤魔洞は、中でぐらぐらと熱湯が出る場所なんじゃ。その中に入ると、長くは居られん。臭気があって、ばたばたと人は倒れた。しかし、その熱湯が貴重で、それを薬湯に使うて来た。それを抜燐の先祖が代々管理していたんじゃ」
「ほ・・そうっすか。でも、今は赤魔を飼育している・・」
「おい、閲呉、お前は飼育していると聞いているのか?」
室蘭は質問をして来たのだった。
「え?え・・どう言う事っすか?」
「お前は抜蘭にそう言われて来たのかと聞いている」
「だって、赤魔が住んでいた赤魔洞じゃないっすか」
「住んでいた?いや、赤魔はそこに住んでいなかったぞ、確か」
「何・何なん?それ・・」
閲呉の眼が点になった。
何と何と・・これは一番最初に赤魔人が出現した話に繋がる、原点なのだ。それをあっさり否定されてしまうとは、どう言う事なのかと。印象操作をされていた?
「赤魔人は、黒魔洞・・暗路から出現していたんだよ。あの暗路には幾つもの枝道がある。知っているよな?」
「ええ・・今では大部分封鎖されているけど」
「その中に赤魔洞に続く暗路が一本あったと言う事だ。つまり赤魔洞のすぐ近くに、その暗路があるんだよ。だから、赤魔洞から出現していると言う話は、創った話でもないし、お前達もそう見えたとしても不思議では無いがな」
「やっと、今になって謎々のような話が一端見えて来たっす。そうっすよね、考えて見りゃ、互いに口伝授だけで、聞きかじりの情報ばっかりだったから」
「そう言う事だ。後はもう無いだろう、なあ、塔蘭婆」
「いや・・一つだけあるぞ、その薬湯を飲ませたら、白魔が赤魔に変わる」
「はっ?誰が飲ませる・・?え・・抜燐さんが、何故・・」