正体見たり!
「お・・これは作為的な何かを行っていた後だな。この白魔の巣に人為的すぎるこんな跡はおかしいよな」
「だよね?ここは目的があって、人型・・我々或いは同様の生活をする者が利用していた?しかも、この白い壁は柔らかく、掘っていたのでは?」
「掘っていたと言う事は、我々の先祖がと言うんだな?」
「それが、まあ順当な考えだけれど、と、なると白魔は後からやって来てここを巣窟にした」
燕尾の言う事はその通りだとすれば、白魔はどこから来たのかと言う事になるのだ。
「やっぱり・・白、赤、緑、黒魔と言うのは暗路を通ってやって来たに違いない。俺達のもし先祖がここで何かを行っていたのなら、追い出され、この穴を占拠されたに違いない。だろう?燕尾」
「今度は赤魔の巣窟に行きましょう。この灯かりも無い穴がここまで明るいと言う謎は置いといても、いずれ、気藍からも情報がきっとあるでしょうし、この事は伝えておく」
「おう、頼む。抜燐殿は恐らく何等かの情報を知っているのだろう」
益々、不可解なこの状況に対する色んな方面においての推察も入り、閲呉と燕尾は、一端岩山の祠に戻ると、馬路、饗場に白魔の穴を全て調べてくれと言い残し、家畜としての赤魔はどうなっているのか、白魔、緑魔は丸々と太って面影も無くなっていて、おだやかで攻撃性も無くなっているが、赤魔については閲呉も余り情報的には不足していたのだ。赤魔は赤魔洞と名付けているが、そこの檻に収容され、やはり草食系の家畜にされているとは聞いていたものの、監視が厳しく、自由にそれを見る事は出来なくなっていたのだった。この集団は既に何かの隠し事があって、オープンな組織的なものでは無くなりつつある。その改革を行ったのが、抜燐なのだ。既に組織で言う所の総理大臣的な事実上の庶務のトップであり、武闘派の室蘭がそのトップと言う図式になっているのであった。
赤魔洞について、正式に抜燐に許可を得て入る事になった。それを拒否する事は何故隠すのかと燕尾に追求される事を嫌ってのものだった。抜燐も敢えてそれをオープンにしないのにも彼なりの理由があるようだが、燕尾にとってはそれが重要な事では無い。赤魔洞が今回の重要なものであるのを何となく、閲呉が気づいていると言う点と、その閲呉は室蘭と話をしているので、気藍が燕尾と行動する事になった。これは、まさしく情報伝達の最たる機会でもあった。
室蘭は閲呉を頼もしい戦士と眼をかけているし、既に自分と並ぶ武力の持ち主でもあるので、右腕にもしたい間柄である。閲呉も裏表の無い武将としての室蘭には、心を許しているようだ。