魔流の生き方
「浮いた・・浮き上がるのは空船と同じ原理であるが、同時に丁度北風が吹いている。あっと言う間に上空に浮かんだぞ。そして、人力以外にその風で羽根が回っている。凄いな、今度の本機は」
キランがエツゴの傍に居た。
「ほぼ成功ね。ユウゴが何度もやり直しをして、あの羽根の構造や歯車には相当注力した。もはやこんな物まで生み出すとは、彼がこのエツゴ軍の開発の長である事は間違い無いわ。今の所、大鷲だけが危険な生体ではあるけれど、西ゝ平原には徹底してこれを牽制して来た。北には空を脅かす生体、或いは飛機のような物も無い筈よ」
「だが、大鷲とか大型の梟が要る。追い払いはしたものの、相対せば俺達には勝ち目は無いからな。武具を持たない俺達は、他の生体より弱い人種なんだ」
「だけど、知恵があるわ。その知恵があるからこそ生き抜いて来られたのよ、エツゴ」
「そうだよな、これからの戦いとは知恵の勝った者達が勝利する。数では無いと俺は思っている。圧倒的な北のビユウ国は、その地形や温暖で外敵の少ない地故に、多くの者が居る。そこには奴隷としている俺達と同じ種族が数万人も居るとの事だ。俺はその知恵で勝りたいと思っている。数では勝てないからな」
「既に、ユウゴ、ビゼン、ヒリュウ、スエラ、カガイや、ヤイバ等の知恵者、エバや、エンビも居る。私達にはその知があるわ。エツゴや、ゴラー、ビロウ兄弟も底知れぬ才をまだまだ隠し持っている。兵士にも、もう30士を超す猛将と呼ばれる武将が居る。戦闘力でも格段と上がっている。そこに飛機、戦車、空船、一早く採用している飛翔部隊、鉄筒、鉄矢、大筒、矢筒、石爆弾、光銃・・大刀に加え、最近では長刀もあるし、曲がり飛矢もある。また、アマルガの投網、敷網、捕縛網も出来た。何より地雷と言う武器は画期的なものとなった。だから西ゝ平原からも空以外にこちらに進出は出来なくなった。いえ、西ゝだけでは無く、南も東ゝもそうよね。これこそ、守護の強化の最たるもの。ビゼンが考案した一番強力な武具であると思うわ」
エツゴも頷きながら、それぞれの個性が出て来たと言われ出したこの頃であった。爆発的に何かが生まれているのだ。それにビロウの血やセムリの血が大きく負傷した兵軍を回復させたし、元々薬草には事欠かない豊富な地であるから、ここに住む民は自然と食からその予防的な健康を保っているのであろう。病気は極端に少なかった。
そう言う事もエツゴ達は比較対象が無いので分からなかったのだ。ここがいかに天啓の地であった事を知るのはもっともっと先の話になる。
「現れた!」




