魔流の生き方
そこへ今度はビゼンが、前進の指示を出し、どんどんと大筒を撃って行くと、この敵は撤退したのである。そして、その位置までエツゴ軍は砦を前進させたのだった。また地雷と名付けた今回の防御網にはきちんと印をつけてあり、そのまま今度は前進した基地より更に300マム前方に埋設したのである。敵はここへ足を踏み入ればどかんである。ユウゴは、今度はビゼンの策を絶賛するのであった。敵の木馬車が回収された。完全な形を留めている物は殆ど無かったが、それらを集めて組み上げると、ユウゴは、
「なかなかの構造だね。人力で動かすもので、歯車が軽く頑丈な物で出来ている。うん・・この歯車の仕組みで、人が2人で乗りこれを足で動かすと相当早く進める。脚は砂漠だから、板2枚で滑るようにするんだね。父、早速これをエツゴ軍用に改良したいけど、良い?」
「ははは、ユウゴの又何かひらめきが出たようだ。ああ、砦も先の砂鉄が相当ここにあるようなので、砦の補強と鉄矢に使う。道具も現地で多産するのも可能になった。これから東平原で鉱石を掘る必要も少なくて済む。何しろ加工しやすいからな」
エツゴが上機嫌で言うのをユウゴが首を振り、
「父、誤解がある。この砂鉄は質が余り良くない。現地調達は出来るけど、鉱山の鉱石のような純度は無いからね。そこは、鉱山は重要なんだ」
「ああ・・そうかあ。まあ、それでもこの不毛の砂漠には思いもせぬ物が眠っていたな。他にも有用な物もあるかも知れん」
「そうだね、それも平行して調べるようにキランさんに伝えてある。早速・・父、思いついた事があるんで、1週間後に又披露するよ」
「1週間で、新たな物を作ると言うのか?ユウゴは・・はは。この所俺の出番は少なくなりそうだなあ」
エツゴの苦笑いに、ビゼンも我もそうだよと笑い合っていた。とにかく撃退させたのだ。今回の圧倒的な兵力に対し、少ない軍力で戦えた事は大きい。それに更に北にエツゴ軍は強力な領地を広げて行ったのだ。旅団の中にはエツゴ軍に加わる者も居て、ゴラーの直下に特別に配属させる事にした。荒々しい旅団の者達は、ゴラーの強烈な個性で無ければ従うまい。エツゴはそうする事で、不協和音を生まぬように工夫している。ユウゴはそれが父であると思っている。そんな事を自然に行える大将だからこそ、ここまでまとまった軍になっているのだと賞賛していた。
ユウゴは本当に有言実行で、1週間後にはエバやヒリュウも共にして、この北の新たな拠点となった城に近い砦にやって来た。西ゝ平原もやはりユウゴの先制攻撃によって鳴りを今は潜めている。当然監視も強化しており、エツゴ軍が守護型の軍の形成を行っている事によって、この少人数による戦いの形を作っているのであった。




