見えた!本当の敵の存在が
「はは・道具に幾ら自信があるものであってもだ。試しても見ない内から、完成したように言っては駄目だろうが、そしてどうせ撃つのなら、命中率も向上させねばな。俺が撃つ地点を示す。そこへ命中出来ないようなら、まだまだだ。だろう?エバ、お前はさっきからにこにこして黙っているが」
「うん、父。同じ事を考えていた。兄がもう完成したかのように言って父を呼んだ時からきっとそう言う事を突っ込まれると思っていた。それより、北の情勢が心配よね」
「ふ・・はっはは。エバが一番良く分かっている。そうだ、まだ攻めて来ない西ゝよりも、北はこれまでの敵より遥かに大軍勢であり、大きな国が存在するようだ。あちらからも斥候部隊が顔を見せるようになっているし、大筒も持っているらしいぞ」
「え・・大筒を?」
ユウゴの顔がひきつったようになった。
「だ。・・だから、こちらも大筒の製造と配置を北に向けてやっている。だからな、その武具が高度な物であって欲しいと思っているんだよ、ユウゴ、エバ。そしてここの大将はキラン、お前だ。これはすぐやれ、俺が見守る」
「は・はいっつ!」
「父・・その前に渓谷にアマルガの網を仕掛けては?」
「何・・あ・・そうか、ユウゴ。それを活用するのをとっくに知っていたのに、忘れていたな。はは・・ああ・そうだ。これは原材料としては相当数ある。北の防御にも使おう、すぐ指令を出せ。透明の糸はあれから大量に作って在庫をしていた」
エツゴはユウゴの提案も即受け入れ、雨風にも非常に強いアマルガの糸は、西ゝの防御壁にもなる。何と言っても大鷲の飛来を相当防げると見たからだ。陸上、空中と防御を急ぐエツゴの策は、波乱の予感を含む不安の要素を少しでも取り除く為だった。これから少ない者達でも起動出来るからである。
提案は生まれる。何も彼らが優秀だからだけでは無い。常日頃からエツゴがあらゆる機会に能力は自分で鍛えろ。力の無い者は知識を蓄えよ。常に自分の身を守る手段こそが生きる知恵であると言う事を繰り返して述べて来たからだ。ばらばらだった集団が大きな組織になって来ると自然に力のある者が支配する階級制になってしまう。その点で言うと、ヒリュウが認めるようにエツゴはその上下関係と言うのを極力廃し、周囲に目標を与え続けてきた。そして平等に接して来た。その意識が浸透している故に、一体化が出来ていると今では強く信奉しているのであった。その考えは、スエラ、カガイにも浸透している。我の強かった武将達でさえも、力だけでは制する事の出来ない共闘すると言う横の関係が次第に出来たお陰で、戦場でも互いに助け合う事もある。何かがエツゴにはその才覚が秘められているような気がする。
すぐにその新武器が西ゝの森に夜に発射された。音は大筒と違って出なかった。否、消音の装置までをもユウゴは後から付け加えたからだ。キランは大層驚いた。それこそ大発明では無いかと。




